火星と木星の間の小惑星帯にあるDinkinesh(通称Dinky:ディンキー)と呼ばれる小惑星が、その周囲を公転するさらに小さな小惑星を持っているのを、NASAの探査機Lucyが発見しました。
Lucyは2021年に打ち上げられ、木星トロヤ群の小惑星から太陽系の初期の様子を探るミッションの名称で、探査機の名前も兼ねています。
NASAは木星トロヤ群に向かう途中の探査機Lucyを使い、観測のためのリハーサルとしてディンキーへのフライバイを実施しました。これは、小惑星の近くを秒速4.5kmで通過しながらでも、研究材料となる観測データを取得できることを確認するのが目的でした。
そして、Lucyの高分解能可視イメージャー「L'LORRI」がディンキーを捉え、撮影する際に小惑星の陰から現れたのが、ディンキーの衛星のような小惑星でした。この小惑星は、その大きさの差からディンキーに属する衛星のように見えますが、正確には二重小惑星に分類されます。
ディンキーに小さな月がある可能性はあると、Lucyのチームは考えていました。ルーシーがディンキーに接近するにつれ、この小惑星の明るさの数値が、以前に地球から行われた観測とは一致しないように見えていたからです。そしてこの小惑星が小さな仲間を隠しているかもしれないと考えました。ただし、Lucyが実際に捉えた小さな月は、まだこの謎を完全に解決するものではないと、Lucyミッションの主任研究員でサウスウェストリサーチ研究所の惑星科学者ハル・レビソン氏は述べています。
また、地球近傍の小惑星を監視している研究者は、これらの小惑星の約15%がバイナリー、つまり二重小惑星であることを発見しています。たとえばNASAが昨年DARTミッションで観測した小惑星ディディモスも、その周りを公転する小さなディモルフォスを抱えていました。この2つの小惑星の大きさの比率は、今回発見されたディンキーとその月のそれとほぼ同じ。
レビソン氏は、ディンキーを捕らえたカラー画像と、分光法データ、そして小惑星の地形を解釈するために役立つ、様々なアングルで小惑星を捉えた画像データをLucy探査機が送信してくるのを待っており「われわれにはまだこの二重小惑星が教えてくれる興味深い事実がまだいくつかあると思っている」と述べました。