2021年11月に小型飛行機をわざと墜落させ、パラシュートで脱出した際の自撮り動画をYouTube再生数稼ぎのために投稿したトレバー・ジェイコブ氏に対し、6か月の懲役刑が言い渡されました。
ジェイコブ氏は、事故の証拠となる飛行機の残骸を自ら回収したのち破壊しており、6月にこれが連邦捜査の妨害を目的とする破壊行為および隠蔽行為だったことを認めていました。
2021年11月24日、問題の事故の発生前に、ジェイコブ氏は事前に飛行機の各所にビデオカメラを取り付け、スカイダイビング用のパラシュート背負ってコクピットに乗り込んでいました。また手持ち用の自撮り棒&カメラもコクピットに持ち込んでいました。
そして離陸から約35分後、サンタマリア近くのロス・パドレス国立森林公園上空を飛行中にトラブルが発生したように見せかけて飛行機から脱出し、パラシュートで地上に降り立つ自身の姿を動画に収めていました。また、地上に降り立ったのち、ジェイコブ氏は墜落した飛行機の場所まで徒歩で向かい、機体に取り付けたカメラを回収しています。
数日後、ジェイコブ氏は事故調査を開始した国家運輸安全委員会(NTSB)に対しては機体の行方は知らないと述べつつ、自らヘリコプターを操縦して残骸を回収、トレーラーに乗せて持ち帰ったのちに機体を破壊・分解して廃棄したとのことです。
事故から約1か月が過ぎた12月23日、ジェイコブ氏は自身の脱出シーンと飛行機から回収した映像を編集した動画に「I Crashed My Airplane」とのタイトルを付け、収益化目的でYouTubeに公開しました。この動画は現在も視聴可能であり、記事執筆時点では448万回近くの再生回数を稼ぎ出しています。
ジェイコブ氏は、危険なスタントをこなしてまでこのような動画を作った理由について、スポンサー契約を結んだメーカーの財布の宣伝が目的だったと述べています。
米連邦航空局と検察は「ジェイコブ氏はこの犯罪を犯した際、非常に悪い判断を下したようだ」と述べています。そして「おそらく、自分自身のためにソーシャルメディアやニュース報道を生み出し、金銭的利益を得るためにこの犯罪を犯した可能性が高い。しかしながら、この種の『大胆不敵』な行為は容認できるものではない」としました。
パラシュート降下のためとはいえ、そこそこの高度で飛行機を放棄すれば、それが民家や市街地に墜落していた可能性も否定はできません。判決の内容は、当初はその罪状から最長20年の懲役も予想されていました。
しかし、下された判決は6か月という軽いものになりました。これは、ジェイコブ氏が司法取引に応じて、飛行機の墜落地点とそこからの機体回収、破壊、処分行為を認めたことも関係していそうです。
なお、ジェイコブ氏はすでに米連邦航空局(FAA)からパイロット免許の取り消し処分を受けたため、すぐに再び同じような行為におよぶ心配はなさそうです。