ロボット技術企業Boston Dynamicsは、ヒューマノイドロボット「Atlas」が、重さ約14kgの自動車部品をケースから取り出し、別の場所にある棚に移し替える作業を行っている動画を公開しました。
Atlasと言えば、油圧動作の関節による軽やかな動作が持ち味です。これまでにBoston Dynamisが公開した動画では、パルクールからダンスまで様々なパフォーマンスでその身体能力を披露しています。昨年には、建設現場を模した環境で重量物を高所の作業員に受け渡すような作業もこなしていました。
そして、2月6日にBoston Dynamicsが公開した動画では、ケースに収まっている自動車のダンパー部品を持ち上げ、両手で抱えて、別の場所にある棚に収めていく作業を、Atlasがこなしています。
説明によると、このダンパー部品は重さ30ポンド(約14kg)ほどあるとのこと。もし。同じ作業を人が行う場合は、持ち上げるときに腰を痛めないよう気をつけながらの作業が求められるところです。
Atlasはこのそこそこ重い部品を、3本指の手でしっかりと持ち上げてケースから抜き取り、さらに両手で抱えるようにして、収納棚へと運び、押し込んでいます。
背景の様子から、この映像は自動車工場における本番作業ではなく、模擬的に動作をテストしている様子だと考えられます。しかし、それでもAtlasはケースから持ち上げた部品を、障害物にぶつけることなく(途中、自分自身が何かにつまづいてよろめいていますが)、器用に運搬しています。
動画では、途中でAtlasのカメラ映像と部品を3Dで正確に認識しているかのようなオーバーレイ表示も見えます。これが実際の映像なのか演出なのかは判別しがたいものの、あらかじめ作業対象の部品の3D情報が与えられており、LiDARで認識した形状と照合して現実の部品を把握し、持ち上げているのかもしれません。
最近は、テスラの「Optimus」や、FigureAIの「Figure 01」といったヒューマノイドロボットが、工場での導入を見据えて開発されています。
Atlasは工場での作業のために大量生産を想定して開発されたロボットではありませんが、将来そのような用途に向けて開発されるロボットのための、データ収集やAIの強化などに活用される可能性はありそうです。