アップルは、iPhone 15シリーズに搭載するバッテリーの寿命(充電回数)が、再テストの結果これまでの想定より長寿命であることがわかったとして、iPhoneのサポートページを更新しました。
iPhone 15シリーズ(iPhone 15、iPhone 15 Plus、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max)のバッテリー寿命は、これまでは充電回数にして500回とされていましたが、更新された充電可能回数は2倍の1000回になっています。
この「バッテリー寿命」とは一回の充電で何時間使えるかではなく、充電と放電(使用)を繰り返したとき、充電できる最大容量がどれほど残るかの目安。この場合は1000回充電と放電(再充電サイクル)を繰り返しても、新品時の80%が残るとの意味です。
古くなったスマートフォンが新品のときより早くバッテリーが減って切れてしまう原因のひとつには、充電を繰り返すことでこのバッテリー寿命が目減りして、満充電しても最大容量が以前より減ってしまう(バッテリーがヘタれる)ことがあります。
アップルはiPhone 15シリーズに関する最新のテストにおいて「理想的な条件下で」1000回の充放電を行っても、本来の容量の80%以上の充電量を維持できたと述べています。
また、ハードウェアやソフトウェアの更新なしにiPhoneのバッテリー寿命が2倍になった理由について「特定の条件下で」でのテストで1000サイクルを超えても充電容量80%が維持できたとしており、またバッテリーおよび電源管理システムが継続的に改善されていることも挙げています。
このタイミングでバッテリーの寿命が変更されることについては、おそらくはEUによる今後の規制に合致させる意図もあると考えられます。
EUは2022年3月に「バッテリーを搭載する製品においてはバッテリーの取り外しと交換を可能にすること」を義務づける規則の導入することを議会で決定しています。そして、バッテリーを交換できないデバイスの場合は、1000回のフル充電を行っても容量の80%は充電可能であることを求めています。
また、2025年6月からは、EUで事業展開するスマートフォンやタブレットデバイスのメーカーには エネルギー効率、バッテリー寿命、埃や水からの保護、偶発的な落下に対する耐性をA~Gの5段階で評価することが求められます。
このグレード設定においては、バッテリーの寿命は、少なくとも800回の充電を経ても80%の充電容量を維持することが求められます。
アップルは、バッテリーを理想的な状態で長く使うには、周囲温度が16~22℃の範囲で使用するよう推奨しています。また直射日光を避け、35℃を超えるような高温環境での充放電も避けるべきだとしています。