Activision Blizzardの元CEO、ボビー・コティック氏が、OpenAI CEOサム・アルトマン氏を含む潜在的なパートナーのグループに対しTikTok買収のアイデアを提案したと、Wall Streeet Journal紙が報じています。
コティック氏は昨年12月下旬にActivisionを去っており、「ゴールデンパラシュート」と呼ばれる巨額の退職金を手にしたとされています。ただ、それだけではTikTokを買収するには足りないため、アイデア実現には資金潤沢なパートナーが必要と考えられます。そしてWSJは、先週行われたカンファレンスのディナーの席で、コティック氏はアルトマン氏にTikTok買収のアイデアについて語り、さらにその場にいたByteDance共同創業者のZhang Yiming氏とも話をしたと報じています。
米国議会では現在、TikTok(または類似もしくは後継アプリまたはサービス)の売却またはサービス禁止を義務づける法案「Protecting Americans from Foreign Adversary Controlled Applications Act」が下院で近く採決の見通しとなっています。
この法案は、中国ByteDanceが所有するサービスやアプリを禁止し、さらには大統領に、将来的に同様のアプリが出てきた場合にこれを禁止する権限を与えるという内容になっており、水曜日に採決が行われ、可決されれば上院での審議に映る予定となっています。バイデン大統領は先週、この法案について「可決されれば署名する」と発言しています。
法案が可決され、大統領が署名すれば、ByteDanceは6カ月以内にTikTokを売却しなければならなくなります。もしそれができないのであれば、米国内のアプリストアでの配布が禁止され、消費者はこれを入手できなくなります。
この法案はサービスが取り扱うプライバシーデータなどが中国へ流れるなど、最終的に中国政府のコントロール下にあるツールで取り扱われるデータに関する国家安全保障上の懸念が背景となっています。
トランプ政権時には、大統領が中国系アプリの使用を禁じる大統領令に署名したものの、連邦地裁がこれを差し止め、政権交代後にバイデン大統領が署名を撤回していました。
しかし依然としてアプリへの懸念は根強く、TikTokは下院で法案が可決に動いていることに対して、米国内のユーザーにこの法案に反対する旨を議員に電話するようプッシュ通知を使って呼びかけるなどしていました。
Wall Street Journalは、コティック氏が本当にTikTokを買収し、それにアルトマン氏が関与した場合、このショート動画アプリのデータが、OpenAIによって生成AIの学習に使用される可能性が高まると指摘しています。