EUの執行機関である欧州委員会は、アップルのiPad向けOSであるiPadOSをDMA(デジタル市場法)に基づきゲートキーパーに指定しました。今後6か月以内に、アップルはiPadOSがDMAの義務に完全適合することを求められます。
ゲートキーパーとは、EUがユーザー数や売上高、資本金など一定の基準を満たしたと認定したハイテク企業のことです。ゲートキーパーはDMAに記載された義務と禁止事項に従う義務が課せられます。
昨年9月、欧州委員会はアップルのiPhone向けOS「iOS」とウェブブラウザ「Safari」、アプリストアの「App Store」をゲートキーパーに指定しました。今回は、そこにiPadOSが加わった格好です。
先のゲートキーパー指定を受けて、アップルはEU域内でのiOS、Safari、App Storeに関する変更を発表。
これを実施に移した結果、iOS 17.4以降ではEU域内に限りサードパーティによる代替アプリストアや、ウェブからiOSアプリを直接ダウンロードを許可し、Safari初回起動時に他社製ブラウザ選択肢を提示するようになりました。
もしもDMAの義務に違反した場合、初回の場合は全世界の売上高の最大10%、繰り返し違反した場合は最大20%の罰金を科される可能性があります。
そのため、アップルはiPadOSについても、代替アプリストアやサイドローディングの許可など、iOSと同様の措置を取ることになると予想されます。
さっそくEpic Gamesは、iPhoneとiPad向けに人気ゲーム『Fortnite』とEpic Gamesストアを2024年内に提供するため全力を尽くしているとX(旧Twitter)上で表明しています。
同社は2020年に、アップルにより開発者アカウントを停止され、iOS版『Fortnite』アプリもApp Storeから削除。しかしDMAのもと、今では欧州限定での独自アプリストア立ち上げとiOS版『Fortnite』復活を目指しています。そこに、iPad向け独自ストアと『Fortnite』も加えるというわけです。
あくまで「ただし欧州に限る」の枠組みは堅持され、日本やその他の国は蚊帳の外です。今後、欧州以外にもこの動きが広がるのか注視したいところです。