「三つ折りスマホ」実現も視野。中国メーカーから超薄型フォルダブルや三つ折りモックアップ(山根康宏)

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山根康宏

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香港在住携帯研究家

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日本でも発売になったサムスンの「Galaxy Z Fold6」は本体をたたんだときの厚みが12.1mmと、従来モデルより薄くなりました。

折りたたみスマートフォンも一般的なスマートフォンの大きさにまた一歩近づいています。

ところがGalaxy Z Fold6の後に中国で相次いで登場したHONORの「Magic V3」とシャオミの「MIX Fold 4」はさらに薄く、もはや普通のスマートフォンと変わらない感覚で使えます。

ここまで薄い折りたたみスマートフォンが出てくると、次のステップである「3つ折りスマホ」の実現が見えてきたように感じます。

本体をたたんだときの厚さはHONOR Magic V3が9.2mm、シャオミMIX Fold 4は9.5mm。ついに折りたたみスマートフォンは厚さ1cmを切るところまで薄型化が進みました。

写真をみてただの最新スマートフォンと思ってはいけません。これがMagic V3を横から見たサイズ。横から見ると筋が入っているように見えますが、ここから本体を開くことができるわけです。

ちなみに開いたときの厚さはMagic V3が4.35mm、MIX Fold 4が4.59mmです。開いた姿は8インチ弱の小型タブレットになりますが、5mmの厚さを切るタブレットも他には無いでしょう。

これで十分な強度を保っているから驚きですが、ここまで中国メーカーの折りたたみモデルの技術は進化しているのです。

ここまで薄くて軽いとなるとスペックを犠牲にしていると思いきや、どのモデルもチップセットはSnapdragon 8 Gen 3、カメラはMagic V3が5000万画素+5000万画素+4000万画素、MIX Fold 4は5000万画素+5000万画素+1200万画素+1000万画素。

高画画質カメラを複数搭載するカメラフォンでもあるのです。なおMIX Fold 4はシャオミのハイエンドモデル同様にライカと協業したカメラを搭載しています。

薄く仕上げることができたのはディスプレイの進化だけではなく、本体を強固にするフレームの設計技術の向上に加え、ヒンジが改良されたことによります。

特にヒンジは折りたたみスマートフォンにとって無くてはならない存在であり、部品数を減らして厚みと重量を軽減しながら、ブレの無い動きを実現しなくてはなりません。

2024年6月に中国・上海で開催されたMWC上海2024にはこの折りたたみスマートフォンのヒンジ開発を行う企業が出展していました。

Foldable Techは横折り型、縦折り型向けのヒンジを開発。ターゲットはあらゆるスマートフォンメーカーであり、現在折りたたみを手掛けていないメーカーの開発を後押しします。

折りたたみスマートフォンはスマートフォンメーカーが単独で開発しているわけではなく、たとえばディスプレイはディスプレイメーカーとの協業です。よく知られている点ではモトローラの「razr」シリーズは大手のTVメーカーTCL傘下のディスプレイ企業、CSOTが開発したフォルダブルディスプレイを採用しています。

最近のスマートフォンはヒンジ部分にディスプレイを引き込む「ティアドロップ」構造を持っており、ヒンジの設計技術にはより精度も求められています。

さてこのFoldable Techは3つ折り型スマートフォンのモックアップを展示しており、ブース担当者は「技術的には近いうちに実現できるだろう」という話もしていました。この時は話を聞きながら「いつかできるといいだろうなあ」と思ったものです。

実は3つ折りスマートフォンの試作モデルはサムスンがすでに作っています。サムスンのディスプレイ会社、サムスンディスプレイは3つ折りディスプレイを「Flex S」と名付けており、折りたたみもできる試作品を海外の展示会に出展しています。

とはいえ折りたたむとまだまだ厚みはかなりあり、このまま商用化できるレベルではなさそうです。

しかしHONORとシャオミから相次いで激薄な折りたたみスマートフォンが出てきたとなると、もはや3つ折りスマートフォンの実現も難しくないように感じてしまいます。

HONOR Magic V3の開いたときの厚さ、すなわち本体そのものの厚みは4.35mm、閉じると4.35 x 2の8.7mmではなく9.2mmとなります。折りたたむときの余裕に0.5mm必要という計算になります。

ではこのMagic V3を3つ折りにすると、単純に計算して4.35 x 3 + 0.5 x 2=14.05mmとなります。スマートフォンとしてはやや厚いかもしれませんが、2年前の「Galaxy Z Fold4」が14.2mmだったことを考えると十分な厚みでしょう。

なにせ3つに開けるのですから、今までの折りたたみスマートフォンの「開けば小型タブレット」ではなく、中型タブレットとして使えます。

ファーウェイが3つ折りスマートフォン、「Tri-Fold」フォンを準備しているとのうわさ話は以前から続いています。サムスンと激しく折りたたみスマートフォンで競争している同社だけに、来年2月、世界最大のモバイルの祭典であるMWCバルセロナ2025でもしかすると3つ折りスマートフォンが登場するかもしれません。

《system》

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