OPPOが、久々に日本でハイエンドモデルを発売します。投入されるのは「OPPO Find X8」。11月にグローバルでお披露目されたばかりの端末で、さっそく日本でも展開されることになります。
(▲OPPOが12月12日に発売するFind X8。X3以来となるハイエンドモデルだ)
発売されるのはFind X8で、上位モデルの「OPPO Find X8 Pro」ではありません。実機をチェックしてきたので、そのレポートをお届けします。
同社が日本市場で最後にハイエンドモデルを発売したのは、2021年のこと。「OPPO Find X3 Pro」以降、同レンジの端末は導入されてきませんでした。ハイエンドモデルのFind Xシリーズは、海外だとその後、2022年のX5、2023年のX6と24年前半のX7と続いてきましたが、いずれも日本では発売されていません。縮小しているハイエンド市場の中で、キャリアの取り扱いがないと導入が難しかったことがうかがえます。
とは言え、その間、Find Xシリーズはそのカメラ機能に磨きをかけてきました。Find X8の売りの1つになっているHASSELBLAD(ハッセルブラッド)とのコラボレーションは、2022年の「OPPO Find X5」から。X5、X6には、専用の画像処理チップとしてOPPOが独自に開発した「MariSilicon X」も搭載されていました。この間のモデルが未導入だったこともあり、OPPO Find X8は日本で初めてのHASSELBLADブランドを冠したスマホという扱いになります。
(▲Find X8は日本で初のHASSELBLADを冠したスマホ。カメラ部分には「H」のロゴが刻印されている)
端末のデザインを見ても、Find X3 Proが発売された21年から3年で、OPPOが大きくカメラ機能を進化させてきたことが分かります。目立つのは、やはり背面のリング状に配置されたカメラ。シャオミの「Xiaomi 14 Ultra」やシャープの「AQUOS R9 pro」もそうですが、カメラスマホと呼んでもいいほどカメラが目立っています。
一方で、昨今のスマホはカメラが出っ張りすぎなのが気になるところですが、Find X8は望遠レンズに独自の「W型プリズム望遠レンズ」を採用することで、センサーの大型化と薄型化を両立させています。本体自体が7.9mmと非常に薄いことに加えて、カメラ部分の突起も最小限に抑えているのが特徴。リングが中央部分に配置されていることもあり、机やテーブルの上に置いた際にがたつく心配も少なくなります。
(▲本体は7.9mmと薄型)
(▲カメラ部分の出っ張りも最小限に抑えられている)
カメラは、メインの広角と超広角、さらにペリスコープ型の望遠の3眼構成で、いずれも5000万画素にそろえています。センサー自体は異なるようですが、画素数をそろえることで画角によって画質が大幅に変わってしまうことを防いでいます。特に、3倍の望遠カメラは、ミドルクラスのスマホに搭載されるのと同じ「LYT-600」となり、ズームした際の画質も良好に仕上げています。
(▲望遠カメラに比較的センサーサイズの大きなLYT-600を使っており、実際に撮ってみたが、確かに解像感が高かった)
(▲HASSELBLADの色再現を反映したというカメラ機能)
(▲横長の画角になるXPanモード。これもHASSELBLADならではの撮影機能だ)
チップセットはメディアテックの「Dimensity 9400」。ハイエンドな製品に採用されるもので、単純に処理能力が高いだけでなく、オンデバイスのAIもスムーズに動作します。このチップの力を生かし、AI機能も進化。被写体から不要な映り込みを消すAI消しゴムや、写真を切り抜くAIクリッピングも、バージョンアップしました。
(▲AI消しゴムが2.0に進化。自動で背後の人を認識して、削除可能になっている)
また、ピンボケやブレを軽減したり、ガラスの反射が写り込んでしまった際にそれを補正できるAI編集機能も用意されています。撮影に優れているだけでなく、撮ったあとの編集まできっちり1台で完結するスマホとして重宝しそうです。
(▲今回一番驚いたのが、AIでブレを補正する機能。ここまであえて手ブレさせた画像が…)
(▲パッと見ではほとんどブレていないように補正された)
(▲ただし、よくよく見ると謎の文字が生成されている。いかにもAIらしい補正の仕方だが、引きで見るぶんには十分なクオリティになった)
AI関連では、文章の要約翻訳、メッセージの返信提案などが利用できる「AIツールボックス」にも対応しています。また、文書の誤字修正などを行うAI文書アシスタントも装備します。文章作成や文章修正のためのAIを搭載するのは、スマホのトレンド。サムスン電子がGalaxy AIで真っ先に日本語対応した形で、アップルも来年以降、Apple Intelligenceを日本語を含む英語以外の言語に対応させていきます。
残念ながら、Find X8も現時点では日本語に非対応。今回触ることができた実機でも、これらの機能は利用できませんでした。ただし、25年3月以降に実施されるソフトウェアアップデートで日本語に対応することは表明されています。いわゆる“おま国”対応されなかったのは一安心。ハードウェアの処理能力さえ満たせれば他の端末に横展開が可能なように見えるだけに、今後、OPPOの他の端末に広がることも期待できそうです。
(▲文書を扱うAIの日本語対応は3月以降になる。現時点では利用ができなかった)
おもしろいのは、独自実装でiOSと写真やファイルをやり取りできる機能が搭載されていること。事前に「O+ Connect」というアプリをiOSデバイス側にインストールしてもらう必要があるため、相手にひと手間かかってしまうハードルはあるものの、“エアドロ仲間外れ”にあってしまう心配を軽減できそうです。iPhone、iPadなどとの2台持ちでも安心。Find X8で撮った写真をサッとiPadに転送し、大画面で編集するといったことも容易になります。
(▲端末の共有メニューで「iPhoneで共有」を発見! iPhone側にアプリを入れれば、ファイルをエアドロ感覚で送受信できる)
日本では、シャオミのハイエンドスマホが“ライカ解禁”になり、以前からライカと協業していたシャープのAQUOS Rシリーズと合わせてカメラスマホが盛り上がってきています。OPPOもここに、HASSELBLADを引っ提げ参入した格好。冬商戦という切り口だと、シャープのAQUOS R9 pro、シャオミのXiaomi 14T Pro、Xiaomi 14Tに加え、OPPOのFind X8がその選択肢になりそうです。
ただし、シャープとシャオミはキャリア向けのカスタマイズが施されており、おサイフケータイもきちんと使えるのに対し、Find X8はグローバル仕様に近く、同機能には非対応。KDDIが物販として「au +1 collection」で取り扱うものの、キャリアからの発売もありません。その意味では、シャオミが5月に発売したXiaomi 14 Ultraに立ち位置が近いと言えます。グローバル仕様をあまり変更せず、いち早くオープンマーケットに展開するモデルということです。
(▲主な仕様。残念ながらおサイフケータイには非対応だが、NFC決済は利用できる)
とは言え、メーカーの実力を示すには、やはり技術の粋が詰まったハイエンドモデルが打ってつけ。Renoシリーズを中心ミッドレンジモデルが受け入れられている日本市場では、カメラに強いメーカーとしてのイメージが薄かっただけに、Find X8の投入でそれを払拭できる可能性もあります。1機種だけではなかなか認知度も上がらないだけに、後継機の継続的な投入も期待したいところです。