レノボは1月、ラスベガスで開催されたCES 2025で世界初の巻き取り式ディスプレイ搭載ノートPC「ThinkBook Plus Gen 6 Rollable」を発表しました。ディスプレイが14インチから16.7インチまで自在に変化します。モーターを使ってややゆっくりと動きますが、見た目のインパクトだけでなく、実際に発売されたら十分に需要があるだろうなと感じました。
スマートフォンにも巻き取り式ディスプレイ(ローラブルディスプレイ)搭載の試作機が出ていますが、「画面収縮に数秒かかる」「ポケットに入れたときのホコリの侵入や誤操作が心配」といった問題があります。レノボ傘下のモトローラも過去に試作モデルを発表しましたが、製品化には至っていません。
一方、ノートPCなら机の上に置いて固定して作業するので、「小さい画面を使って仕事をしながら、複数画面を開いて狭いと感じたら、大きい画面に変形させる」といった使い方が十分あり得るわけですね。
一見するとキワモノにも見える巻き取り式ディスプレイですが、CESのレノボブースで実機を見てみると、非常に実用的と感じました。
気になるのは本体の駆動機構の耐久性などですが、ディスプレイの収縮中に無理に押さえつけたり引っ張ったりしない限り、すぐに壊れることは無いように感じます。スマートフォンのように常に握っているわけでもありませんし、ディスプレイのフレーム全体がガイドになっているので、動きが左右にずれてしまうこともなさそうです。
スマートフォンの世界では折りたたみディスプレイ搭載の新製品が次々と出ていますが、ノートPCに関して言えば折りたたみよりも巻き取り式のほうが普及が進むかもしれません。10型以上の大きなパネルを折り曲げるには力が必要ですし、破損もしやすいためです。複数のディスプレイ技術がデバイスの使い方の特性によって選択されるのは当然のことです。
スマートフォンやPCメーカーにディスプレイを供給するディスプレイメーカーも様々なディスプレイの開発を行っています。中国のBOEは車載向けのローラブルディスプレイをCES 2025で展示していました。
こちらは17.6インチから最大31.6インチまで拡大。車載ディスプレイは常に大画面である必要はなく、地図やお店情報など複数コンテンツを使うときや、同乗者が映画を見るときだけ大型化させる、といった使い方が想定されます。車載なので振動対策や広い温度への対応が必要なものの、固定式のためスマホへの搭載より先に実用化されるかもしれません。
あるいは家庭用のモニターも、壁に貼り付け必要に応じて収縮する、というものが出てきそうです。巻き取りディスプレイを搭載したTVはLGがすでに商用化しています。ハイセンスもCES 2025ではローラブルスクリーンを使うプロジェクターTVを展示していました。2025年は折りたたみだけではなく、巻き取り式ディスプレイが数多くみられる1年になりそうです。
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