米国のロボット開発ベンチャーFigure AIは、今年中に家庭環境でヒューマノイドロボット「Figure 02」のアルファテストを開始することを明らかにしました。
アルファテストとは、新規開発製品やサービスの、初期試作段階に行われるテストのこと。通常、アルファテストの結果は今後の開発における改善・改良点や修正すべき点の洗い出しのために行われます(製品版に近づいたときに実施されるのがベータテスト)。
Figure AI のブレット・アドコックCEOは、家庭環境へのヒト型ロボットのテスト展開は、先週発表した、Helixと呼ばれる同社の視覚・言語・行動 (VLA)モデルの成果とのこと。VLAは視覚データと言語コマンドに大規模言語モデル (LLM) を組み合わせてロボットをトレーニングする仕組みです。2月の初めに、FigureはHelixを本格採用するためOpenAIとのパートナーシップを解消すると発表していました。
Figureは以前より家庭環境へのヒューマノイドロボットの導入を計画しており、先週にはFigure 02が家事をこなす動画も公開していました。
とはいえ、昨年のBMWの工場への試験導入事例のように、現在のところはまだ、Figureはロボットに家事を教えるより、工場や物流の現場へ丁稚奉公させるほうを優先して行っています。これは、工場や物流倉庫のほうが家庭よりも構造的に配置が決まっており、より安全に動作させられるからと考えられます。もちろん、金銭的なサポートも得られるはずです。Apptronikやテスラといったヒューマノイド開発におけるライバル企業も、この点においてFigureと同様のアプローチを採用しています。
ノルウェーの1Xのように、家庭環境向けのヒューマノイドロボットの開発を優先している企業もあります。ただ家庭環境向けは、まず最初に個人で購入できる価格にまでコストを下げる必要があります。さらに、導入する家庭によって、部屋が広かったり狭かったり、段差がたくさんあったりなかったり、様々な物で溢れかえっていたりキレイに片付いていたりと、千差万別な環境が待ち受けており、それらすべてに対応するロボットを開発するには困難が伴います。小さな子どもが走り回るような家で、転倒して子どもを怪我させたりする可能性なども考慮しなければなりません。
Figure 02が今年のどの時点でアルファテストを開始するかはまだはっきりしていませんが「もしわが家にヒト型ロボットが来て、掃除や洗濯をやってくれるようになったら」と想像すると、子どもの頃に夢見た未来の家庭が現実になりつつあることに驚くかもしれません。なお、日本人の場合はもしかすると「ネコ型のほうがいいのに」と思うかもしれませんが、あれは22世紀のロボットなので、お目にかかりたければそれまで長生きできるよう、日頃から健康な生活を心がけるべきかもしれません。