Google が「ロケーション履歴」から人工妊娠中絶クリニックなどセンシティブな場所への訪問歴を自動的に消去する措置を発表しました。
ロケーション履歴はモバイル端末の位置情報データ等により、ユーザーがどの場所を訪れたかを推定し記録する Google アカウントの機能。標準ではオフになっており、手動で有効にしないと使えません。
ロケーション履歴を有効にした Google アカウントでは、Googleマップの「タイムライン」で何年何月何日にどこを訪れたか確認できたり、ほかのサービスで「1年前に訪れた場所です」といった注釈を表示するといった機能が使えるようになります。
Googleが公式Blogで公表した新たなプライバシー強化策は、ユーザーがロケーション履歴を有効にしている場合でも、一部のセンシティブな施設への訪問履歴は自動で削除する内容。
対象として挙げられたのはカウンセリングセンター、ドメスティックバイオレンス被害者のためのシェルター、人工妊娠中絶クリニック、不妊治療センター、依存症治療施設、減量クリニック、美容整形外科など。
この施策は今後数週間のうちに有効になるとしています。
ロケーション履歴自体が手動で有効にする必要があることを思えば、また「タイムライン」の機能を自分が前回医者に行ったのはいつか etc を確認する外部記憶として使っているユーザーの場合を考えると、広い範囲の自動消去はそれはそれで不都合があるかもしれません。
一方で「デフォルトでオフです」といったところで、導線によってはユーザーが正確に機能の内容と範囲を理解して同意しているとは限りません。特にDV被害者シェルターなどは、モバイル機器やPCを残して逃げ込んだ被害者を加害者が特定するような場合や、人工妊娠中絶が犯罪になった地域ではユーザーに不利な告発につながる可能性もあることを思えば、デフォルトで安全に倒す施策は理解できます。
なおロケーション履歴については、各Googleアプリやサービスの自分のアイコンから飛べるGoogleアカウントのページで、「プライバシーとカスタマイズ」以下から管理できます。
2020年からはロケーション履歴を手動でオンにした場合でも、18か月で履歴が自動消去されるプライバシー保護策を導入しています。もし自分の行動履歴を永遠に残して活用したい場合、逆に自動消去を無効にする必要があります。
履歴を消したい場合、Googleアカウントの管理から全消去が選べるほか、Googleマップのタイムラインからは特定の場所の訪問歴だけを消すこともできます。