Google Pixel 9a発表、RAM容量でAI機能に格差。簡易版Gemini Nano 1.0 XXS搭載

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Ittousai

Tech Journalist. Editor at large @TechnoEdgeJP テクノエッジ主筆 / ファウンダー / 火元

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GoogleがPixelスマートフォンの最新モデル、Pixel 9シリーズの廉価版 Pixel 9a を米国で発表しました。

上位モデルと同じ最新のGoogle Tensor G4プロセッサでAI機能にも対応しつつ、価格は Pixel 9 (799ドル)よりもかなり手頃な499ドル。同じ「最新シリーズの最安モデル」である iPhone 16e よりも100ドル安い設定です。

一方で搭載RAM量の関係から、Googleが全力で推す Gemini のAI機能について、9aと上位モデルではスペックから見えない格差があることが分かりました。

Pixel 9a の主な仕様は、画面サイズは Pixel 9 / Pixel 9 Proと同じ6.3インチ。画素数 (1080 x 2424)、リフレッシュレート(60Hz - 120Hz)、輝度(HDR 1800 ニト~ピーク2700ニト)もPixel 9と共通。Proも含めた前世代Pixel 8シリーズより明るくなりました。

歴代の「a」モデルで主な簡略化部分だったカメラは、48MP広角+13MP超広角のデュアル構成。ここは上位のPixel 9(50 MP Octa PD 広角+AF付き48MP Quad PD超広角)、さらに光学5倍望遠もあるPixel 9 Proと差がつく部分です。

逆にバッテリーは、Pixel 9 / Pixel 9 Proが4700mAh 24時間~駆動なのに対して、Pixel 9a は 5100mAhで30時間超と上位製品を超えています

このほかワイヤレス充電が遅くバッテリーシェアもできない等、細かな違いはいくつもありますが、注目はRAM容量が8GBであること (ストレージは128GBと256GB)。

Pixel 9 は12GB、Pixel 9 Pro は16GBを搭載しており、これがデバイス上で動かせるAI機能の差につながっています。

Google が Ars Technica の照会に答えたところでは、Pixel 9a が搭載するAI モデルは「Gemini Nano 1.0 XXS」。無印や Pro が搭載する Gemini Nano XS (エクストラスモール)よりさらに小さな、エクストラ・エクストラスモールです。

搭載するGemini AIモデルの機能差から、現時点で Pixel 9a では使えないことが分かっている機能のひとつは「Pixelスクリーンショット」。今月のアップデートで日本語でも使えるようになるアプリです。

Pixelスクリーンショットは、撮影したスクリーンショットをオンデバイスのAIでスキャンして、内容についてGeminiに質問できる機能。

写真内のテキストを検索対象にする機能は Googleフォトにもありますが、Pixelスクリーンショットは単なる文字列の一致ではなく、撮影した多数のスクリーンショット全体について、内容を把握したAIと会話できます。

たとえばあとで調べよう、買おうと思った商品やイベントのウェブページやアプリ画面、領収書などをとりあえずスクショしておくことで、あとからAIの自動提案でコレクションに分類したり、キーワードで関連するスクショとテキストを表示する、イベントの会場や日時、チケットについてGeminiに訊くといったことができるようになります。

雑多な資料や画像をAIに把握・分類させて、あとから自然な言葉で必要な情報を取り出すという意味では、Windows 11の画面全録・AI分析機能「Recall」 や、GoogleのNotebookLM に似ています。


速報記事を書くならNotebookLM Plusが便利(Google Tales)


このほか、少なくとも発売時点では使えないとされる AI機能は、通話の内容を端末内AIで分析して概要をまとめる Call Notesなど。

逆にPixel 9aの製品ページにはっきり記載があり、利用できる(はず)のAI機能は、Geminiとリアルタイムで会話しつつ様々なアプリ機能が使える Gemini Live、囲って検索、画像生成のPixel Studioアプリ、カメラの「一緒に写る」や「編集マジック」、音声消しゴムマジックなど。

このように機種選びの理由にもなるAI格差ですが、AI機能は言語や端末を利用する地域によっても使用制限があったり、解禁タイミングが変わることが多いうえに、生成AIのGeminiが関わる部分とそうではない部分 が「Google AI」として並んでいたり、Pixel 9a 製品ページの Gemini 部分にも小さな但し書きが並ぶ状態で、具体的に何ができて何ができないのか一見して分かりづらいことが問題をややこしくしています。

Pixel シリーズと端末内で動く Gemini AI機能といえば、GoogleはPixel 8の世代でも、当初はRAM搭載量を理由に Gemini NanoをPixel 8 Pro限定機能としていたものの、後に最適化によって利用可能になったとして無印 Pixel 8 / Pixel 8a にも提供していた経緯があります。

今年の Pixel 9a も、今後の最適化によっては上位モデルと同じ機能が、多少の性能差で使えるようになる可能性がないわけではありません。

Pixel a シリーズは価格性能比が高く、発売後は同じ世代の無印 Pixel を買う理由が少なくなるともよく言われて来ました。

しかしPixel 9世代は、事前に注意深く調べないと「Pixelならではの強力な Gemini AI機能!」が使いたくて買ったら a だけ非対応だった、という悲劇があるかもしれません。

《Ittousai》

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