キングジムがデジタルメモ「ポメラ」の新製品ポメラDM250を発表しました。
新製品は2016年に発売したDM200を継承する高級モデル。7インチWSVGA液晶やキーピッチ17mmのフルサイズキーボードなど外観はほぼそのまま、WiFiを経由したスマホとの連携強化、24時間駆動バッテリー、USB Type-C端子対応、本体保存メモリが倍増の20万字、打鍵音の静音化など順当以上にパワーアップを遂げています。
日本語入力特化ツールとしては、専用のATOK for pomera [professional]が校正支援機能などさらに強化。誤用や仮名遣いを指摘しすぐに差し替えられる修正候補を出してくれるようになりました。
文章作成支援としては、アウトラインや左右比較、縦書きといった従来からのモードに加え新たに「シナリオモード」に対応。縦書きを上下に分割しシーンエリア・セリフエリアを設けて執筆できます。
スマホアプリの pomera Link は、Wi-Fiでの直接接続に対応。QRコードに変換して撮影して~の手間を繰り返すことなく、テキストファイルを効率的に転送・共有できるようになりました。また新たにAndroidアプリも用意します。
ほかソフトウェアの進歩としては、ようやく正規表現に対応。校正・編集の効率が大幅に向上します(人間のほうが書ければ)。ファイル操作ではゴミ箱、自動バックアップ機能も加わっています。
「中の人が自分で満足できるように作った」としか説明できないこだわりの機能としては、親指シフトに対応するだけでなく、負担の少ない右手一列ずらし配列「おやゆびシフト2」に対応しています。
そもそも親指シフトが何か知らない人には説明が極めて難しいうえに一切興味を持たれない気がしますが気にせず続けると、親指シフトとは左右の親指で押し分ける2つの「親指シフトキー」を使い、素早く早く効率的な日本語入力を可能にする独特の日本語配列のこと。専用のキーボードもありますが、pomeraのようにソフトウェアで配列変更に対応し通常のキーボードで打つこともできます。
しかし問題は、専用のキーボードではちょうど左右の親指の位置に左右2つの親指シフトキー「親指左」「親指右」があるのに対して、一般的なキーボードではスペースバーが長いため、押し分けるためにはスペースを「親指左」にしつつ、「親指右」は右手の親指を内側に曲げて隣のキーを押す必要があること。親指シフトユーザーにとってはスペースが短いほど打ちやすそうに見えたり、NMの下辺りにキーがあるか気にするのはこうした理由です。
pomera DM250ではこの極々少数の、しかし作家など大量の文章を打つ種族が比較的多いと言われる親指シフトユーザーの右手親指問題に対処するため、キーボードの右側を1列ずらした独自の配列「親指シフト2」とキートップ用ステッカーを用意。無理なく打てるように支援します。
同様のソフトウェア配列変更オプション+ステッカー対応で、ポメラ版のUS配列にも対応。キーの形状こそ変わりませんが、記号などを打ちなれた配列で打てるようになります。
そのほか主な仕様は、重量 約620g、SDカードスロット(最大32GB)、Bluetooth 4.2 / 802.11b/g/n WiFi、内蔵リチウムイオンバッテリーで24時間駆動、USB-C充電、搭載辞書は「角川類語新辞典.S」「明鏡国語辞典MX」「ジーニアス英和辞典MX」「ジーニアス和英辞典MX」。
本体カラーはダークグレーと、オンライン直販専用のホワイトを用意します。
発売は7月29日、価格は税込み6万280円。「ノートPCがあるのに」「スマートフォンがあるのに」とは初代ポメラが登場した2008年から言われてきましたが、2022年にも高級路線の新型が現れるところを見ると、日本語入力専用機としての純度を求めるユーザーはどうやら途絶えていないようです。