レノボ・ジャパンが、13.3インチ液晶を搭載し、約972.7gからの軽量モバイルノートPC『Yoga Slim 770i Carbon』を発表しました。コンシューマー向け高級機であるYogaシリーズの最新世代の中で、最も軽量なモデルです。
発売予定日は9月2日。本体カラーは『ムーンホワイト』と『オニキスグレー』の2種ですが、販売ルートによってカラーが分けられたタイプとなります。
ムーンホワイトは量販店販売のみで、タッチ画面タイプ。対してオニキスグレーはオンラインストアのみの販売で、タッチ非対応画面タイプとなっています。
価格はオニキスグレー(直販モデル、タッチ非対応)が税込18万円前後から。ムーンホワイト版(店頭モデル、タッチ対応)はオープンプライスとなっています。
市場における位置づけとしては、13.3インチで1kg以下の正統派モバイルノートPC。大きな特徴は最高リフレッシュレート90Hzで、Windowsのモバイルノートとしては高解像度な2560×1600(WQHDのアスペクト比16:10版)液晶画面を搭載するのが特徴です。
CPUには最新モバイルノートで採用例の多い、インテルの第12世代Core i(TDP 28W版)を搭載し、GPU(グラフィックス)はCPU内蔵タイプとなります。
またレノボ製ノートPCにおける位置づけは、約966gからの軽さと“白いカーボン”のキャッチフレーズなどで日本でもヒットモデルとなった『Yoga Slim 750i Carbon』(2020年12月発売)の後継となるモデル。
最軽量構成での重量こそ公称で約7gほどの増加となっていますが、CPUの世代交代を中心とした速度アップと、最高リフレッシュレートが90Hzに高速化され(750iは60Hz)、色域なども拡大された液晶パネルなど、使い勝手を左右する箇所での幅広い強化がなされています。
大きな強化点となるディスプレイパネルは、レノボの新・高画質ブランド『PureSight』(ピュアサイト)認証をパスした仕様。
最大の特徴は、スクロール画面やマウスカーソル移動などが滑らかになる、最高90Hzのアダプティブ(自動設定・可変)リフレッシュレートに対応した点。ゲーム向けモデルはともかく、モバイルノートPCでは60Hzを超える機種は非常に珍しいため、先進的と呼べるポイントです。
また、色域(色を表示できる範囲)も、sRGB比で110%にまで拡大。750iではsRGB比100%だったのに比べ、より深みのある、鮮明な色が表示できるようになりました。
もちろん、750iで特徴的だったアスペクト比16:10、2560×1600(2.5K)解像度はそのまま継承。最新世代のノートPCの外観で重要なナローベゼル度(画面占有率)も91%と、非常に高水準です。
基本性能の面では、CPUとして採用されたインテル製Alder Lakeこと第12世代Core iが威力を発揮。標準構成として挙げられている『Core i7-1260P』の場合では、CPU構成は12コア(高性能コア×4+高効率コア×8)16スレッドで、ターボ時最高クロックは4.7GHz。
1基ながら大型の冷却ファンの搭載により、基本TDP(消費電力と発熱の目安)28WのCPU性能をしっかりと引き出します。
そしてもう一つの特徴となる本モデルの軽さを支えているのは、現行モデルの750iに続き、天板側素材として採用したカーボンファイバー。これにより、金属では難しい剛性と柔軟性、軽さの三要素を、高いバランスで実現します。
さらに他のパームレスト面と底面側の素材には、金属の中で軽量なマグネシウム-アルミニウム合金を採用します(この構成は750i Carbonと同様)。
こうした素材や本体剛性を支える構造設計により、米軍調達仕様『MIL-STD-810H』準拠のテスト8項目をパス。さらにレノボ自慢の社内認証試験も実施し、堅牢性の面にも配慮。レノボ側は「過酷な環境でも安心して利用できます」とアピールします。
そして使い勝手の面でも、もう一つの特徴が。それは750iに対して内部レイアウトの見直しなどにより、キーボードの幅を本体ほぼいっぱいまで広げた『Edge to Edgeキーボード』設計となっている点。
これにより、モバイルノートの日本語配列で縮小されがちな右手側キーなども、ほぼフルサイズとなっています(ただし、右ShiftやEnterキーなどは“海外配列と共通化された”構造となっていますが)。
また、今回の本体カラーである2色は、天板とパームレストの色味を微妙に変化させ、ツートンカラー的な組み合わせになっているのも特徴。側面などに丸みを持たせた新しいデザインテーマと合わせて、上位モデル『Yoga Slim 970i』と共通する、優美さを感じさせる仕上げとなっています。
さらに塗装仕上げには、指紋が付きにくい「3層サーマルコート」を採用。8時間の高熱焼成と6時間以上の塗装工程でじっくり仕上げることで、仕上げの美しさと汚れに対する耐久性を兼ね備えます。
このあたりの仕上げは、現行の750iとはかなり異なっているため、もし機会があったら見比べてみて欲しいところ。
拡張端子はThunderbolt 4(兼USB Type-C)が1基と、USB Type-C(最高10Gbps)が1基の合計2ポートと、3.5mmヘッドセットジャックのみ。750iでは本体左側面にThunderbolt 4×2基(USB Type-Cとしては総計3基)を搭載していたため、Thunderbolt 4がまるまる1ポート減少した計算です。
またバッテリー駆動時間も、CPU強化の関係もあってか、公称で最大約12時間に。750iでは約14時間であったため、短縮となっています。拡張端子と合わせて留意が必要なところでしょう。
本機の主な仕様は下記の通り。
本体サイズ……約300.1×206×14.8mm(幅×奥行×厚さ)
本体重量……約972.7g(最軽量構成)
ディスプレイ……13.3インチ、2560×1600/16:10 IPS液晶、最高90Hz(タッチ対応モデルは10点対応)
CPU……インテル製Core i7-1260P(12コア[4P+8E]16スレッド、最高4.7GHz)
GPU……CPU内蔵Iris Xe グラフィックス
RAM……8GB または 16GB
ストレージ……512GB SSD(NVMe/PCI Express接続)
バッテリー駆動時間……最大約12時間(JEITA 2.0)
USB端子……Thunderbolt 4×1、USB 3.2 Gen2 Type-C(10Gbps)×1
拡張端子……3.5mmヘッドセットジャック(入出力兼用)
生体認証機能……顔認証
標準搭載OS......Windows 11 Home 64bit版
ACアダプタ……65W、USB Type-C接続
このようにYoga Slim 770i Carbonは、評価の高かったYoga Slim 750i Carbonを元に、画面や処理速度といった、使い勝手に関わる箇所をほぼ順当に強化した仕様のモデル。750i Carbonは「1kg以下のノートPCとしてはかなり高速なCPUを搭載し、それをしっかり支えられる冷却機構も備えた」点が特徴でしたが、そうした特徴をしっかりと引き継いだバランスと呼べそうです。
レノボ入魂の“白いカーボン”は、本体カラーも相まってYogaシリーズの認知度を広げるモデルともなりましたが、本機の実力はその後を継ぐに十分。今世代も間違いなく、1kg以下のモバイルノートPCとしては“一つの基準となる”モデルです。
●Source:レノボ・ジャパン 製品ページ