NVIDIA、レイトレ版ポータル『Portal with RTX』。古典ゲームのRT化魔改造ツールRTX Remixも無料提供

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Ittousai

Tech Journalist. Editor at large @TechnoEdgeJP テクノエッジ主筆 / ファウンダー / 火元

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最新GPU『RTX 40シリーズ』がついに登場したGTCカンファレンスで、NVIDIAはValveの傑作ゲーム Portal をレイトレーシングに対応させた『Portal with RTX』を発表しています。

NVIDIAはさらに、『Portal with RTX』の開発に用いた「古典3Dゲームかんたんレイトレ化」ツール『NVIDIA RTX Remix』も無料で一般提供する予定です。

『RTX Remix』は元になるゲーム自体のコードを変更することなく、レンダリングパイプラインを乗っ取ることで最新のグラフィック表示を可能にする技術。

『RTX Remix』とNVIDIAのメタバース開発プラットフォーム Omniverseを用いることで、誰でも好きなクラシックゲームを、レイトレーシングや物理ベースレンダリング、高解像度テクスチャ等に対応した最新グラフィック版に魔改造できるようになります。

Portalは2007年にValveがリリースした一人称視点のパズルゲーム。壁や床に「ポータル」を開き任意の2点間をつなげる奇想天外なデバイス「ポータルガン」を使った斬新なパズルアクションに加えて、狂気のAIに捕らえられた主人公が「実験」を切り抜け脱出する物語、「アパーチャサイエンス社」の世界観も大好評を博し、現在にいたるまでスピンオフが作られる、ある意味でValveの顔的な存在になっています。たとえば携帯PCゲーム機 Steam Deckのチュートリアルゲーム Desk Jobもアパーチャサイエンスのもの。

NVIDIAはグラフィック技術のショーケースとして、これまでもQuake II や Minecraft など、比較的シンプルな3Dグラフィックのゲームをレイトレーシング対応にしたバージョンを公開してきました。

今回の Portal with RTXも様々なレイトレーシング技法と、新たに作り起こした3Dモデル、テクスチャ、複数タイプの光源を設置したステージなどを通じて、古典ゲームを視覚的に生まれ変わらせています。

オリジナルのポータルはさほど要求仕様の高いゲームではなく、グラフィック競争で名を馳せた作品というわけでもありませんが、とはいえ高く評価されたゲーム全体の世界観や雰囲気には、リアリスティックなグラフィックが大きな役割を果たしていました。

(たとえば、本当に存在するのか分からない「科学者」たちが監視しているというすりガラスの窓から漏れる光や、不気味に老朽化した実験チャンバーが否応なく想像させる世界と主人公の境遇、壁に残された「The cake is a lie」、その他これから初めてポータルを遊べる幸福な人のために言えないアレやコレなど。)

再構成されたPortal with RTX はすべての光源をレイトレーシングで表現。Quake II RTXや Minecraft with RTXでは一回までの反射を演算していたのに対して、RTX Remixで導入されたパストレーシングでは4回までの反射を再現します。オブジェクトが互いに、また自らに影を落としたり反射する様子、サーチするレーザー光の散乱やスモークで拡散する光、光がポータルを通過して向こう側を照らす様子まで。

単に光源処理を置き換えただけでなく、テクスチャは高解像度かつ物理ベースレンダリングになり、キューブやスイッチといったモデルも新しく、やたらと自発光したりセルフシャドウを落としたり半透明になったり、ポータルの世界がCG実写映画化されたような、リアルな非現実感を漂わせています。

Portal with RTX は11月に、SteamのPortal所有者全員に無料のDLCとして提供予定。

Portal with RTX の開発に用いられたツール RTX Remix は、比較的シンプルなレンダリングパイプラインを持つクラシックな3Dゲームを対象に、元のコードを書き換えることなくレイトレーシングや最新グラフィック対応を追加できるプラットフォーム。

ゲームの起動中にホットキーでGPU内のデータをキャプチャし、取得したテクスチャをAIベースのツールで高解像度化・物理特性を付与したり、Omniverse連携の3Dツールでアセットを置き換えたりすることで、クラシックなゲームを比較的容易にRT(リアルタイムレイトレーシング)対応させる仕組みです。

RT対応化MODファイルは元ゲームの実行ファイルと同じ場所におけば良いため、MODコミュニティで(法的・規約的に許される限り)共有して楽しむこともできます。

現時点での制約はDirectX 8や9までで、固定ファンクショングラフィックパイプラインを用いたゲームのみが対象である点。DX9といえば2002年リリースなのでかなり古い作品のみがRT化して遊べることになりますが、NVIDIAの解説記事では The Elder Scrolls III' Morrowindを用いています。

NVIDIA RTX Remixは今後リリース予定。メールアドレスを登録することで提供時期の通知を受けられます。


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)


《Ittousai》
Ittousai

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