M2プロセッサを搭載したiPad Pro(11インチと12.9インチ)が10月26日に発売される。
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M2は、この6月に発売されたMacBook AirとMacBook Pro 13インチにしか搭載されていない最新のAppleシリコンチップ。M1の正常進化モデルだが、特にGPUのコア数を増やし処理能力を35%増強、ProResやProRAWのエンコード・デコードエンジンを搭載している。簡単にいうと、コンパクトで発熱が少ないのに、画像やビデオの処理に極めて高い能力を発揮するチップということになる。
今回のアップデートのキモはこのM2プロセッサの搭載だ。
ボディサイズも、カメラなどの部分でも、ハードウェア的な変更はないようだ。
しかしながら、M2を搭載することにより、最大4K、30fpsのProResビデオ撮影が可能になったり、スマートHDR 4に対応したりもしている。
絵を描く人すべてが歓迎するであろうApple Pencilホバー
また、イラストを描いたり、マンガを描いたりする人に注目して欲しい機能として「Apple Pencilによるポイント」(ホバー)という機能が追加されている。
これは、Apple Pencilをディスプレイに近づけると感知して、マウスオーバーしている時のように、そのポイントを表示するという機能。ディスプレイにベン先が約12mmまで近づいたら反応するのだという。
使ってみたら、これは非常に便利な機能だった。
iPad ProにApple Pencilで絵を描いていて、たとえば、下の写真のように十字に引いた線のクロスポイントに正確に点を打とうとした際に、どこに描画されるかを見極め切れず、どうしてもズレが発生してしまう。
この新機能では、ホバー状態にある時からその位置を画面に表示してくれるので、正確にポイントを突いて描画することができるのだ。
また、アプリが対応すれば、これから描画するペン先の種類や太さ、色なども表示できる。これまでは、ペン先や、太さや色を変えるたび、ちょっと線を引いてはUndoしていたのだが、この機能があれば描画する前に何が描かれるか分かるので、Undoをする必要がなくなる。
これは、絵を描く人すべてに大歓迎される機能だと思う。
Photoshop、Illustrator、CLIP STUDIO PAINTなど、プロ用の本格的な画像処理アプリが増えているのも、iPad Proユーザーにとって嬉しいポイントだ。
先日、Blackmagic Designから、DaVinci ResolveのiPad版の開発が発表されたのも大きい。これで、iPad Proでの動画編集の可能性がさらに広がった。
ステージマネージャへの期待と未完成な部分
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)、11インチ(第4世代)は、最新のiPadOS 16を搭載した状態で販売される。iPadOS 16にはいろいろ便利な機能が搭載されているが、中でも注目は、Mac版と共通性のあるインタフェースを実現する「ステージマネージャ」が搭載されることだ。
ステージマネージャは、Split Viewや、Slide Overの延長線上にある技術で、1:1や、1:3だけでなく、さまざまな比率で画面を分割でき、さらに自由にアプリケーションウィンドウを配置できる。
なお、このステージマネージャはiPadOS 16を搭載可能なモデルの中でも、2018年以降のiPad Proと、M1を搭載したiPad Airでのみ扱える。
1画面には最大4つまでのアプリを配置できるし、下にドックを配置したり、左側に最近使ったAppをグループ化して表示したりすることもできる。
筆者は6月からパブリックベータバージョンを使っているが、ようやくiPadにおいても自然なカタチでマルチタスクを扱えるようになったと思う。
さらに、ステージマネージャは6Kまでの外部ディスプレイを扱うことができ、合計8つのアプリを動作させることが可能……。なのだが、パブリックベータでは8月から扱えていた外部ディスプレイサポート、何かトラブルがあったのか、「今年中に公開」という表記に変わってしまっている。新型iPad Pro発売直後から使えるようにはならないみたいだ。
大きな外部ディスプレイで、PhotoshopやDaVinci Resolveを扱えるようになると、iPad Proでできることはさらに広がり、パソコンとの境界はよりあいまいになっていくはずなので、早期のサポートを望む。
グラフィックス処理能力の高いM2を搭載したiPad Proが、ステージマネージャと大型の外付けディスプレイを扱えるようになれば、iPadの可能性はこれまでになく広がるはずだ。
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