米NVIDIAは、人工知能(AI)向けGPU「A800」を中国向けに提供開始したと発表しました。最近、米国政府が中国によるAI技術へのアクセス制限を狙って導入した新ルールへの適合を謳います。
この「A800」はハイエンド製品の「A100」と同じ演算能力を持ちつつも、他のチップとの相互接続帯域幅が狭く、元々の600GB/sから400GB/sに制限した製品。つまりA100の弱体化バージョンというわけです。
一見すれば大した制約にも思えませんが、何千ものGPUを繋ぎ合わせるスーパーコンピューターの用途であれば絶大な影響をおよぼすことになります。米The Wall Street Journalはこれを「高速道路を6車線から4車線に減らすこと」になぞらえており、少数のチップのみでこなせる単純作業ならまだしも、大規模なAIモデルのトレーニングでは効率がガタ落ちするとの趣旨を述べています。
これまでA100はアリババグループなど中国のハイテク大手によりサーバーや巨大AIアプリ向けに調達されてきましたが、今年8月に米政府が「H100」(未発売)とともに中国への販売を制限するようNVIDIAに命令。
NVIDIAは、それにより4億ドルの損失が発生するとの見通しを発表。さらには直近の会計年度で、収益の約4分の1が中国と香港からのものだと明かしており、傷口を広げないように「A100の代わり」を急ぎ用意する必要があったと思われます。
実際NVIDIAの広報担当者は米Reutersに、このチップが「中国の顧客向けのA100 GPUの代替製品」であり「米政府の輸出規制を満たすようテストをクリアしており、制限を超えるようプログラムできない」と声明を出しています。
この「制限を超えるようプログラムできない」というコメントを見て、GPUが暗号通貨採掘ブームで品不足となっていたときに、NVIDIAが自社製品のマイニング機能を制限していたことを思い出す人もいるはず。このリミッターは結局、有志により解除されてしまったとの報告もありましたが、今回も中国が官民の総力を挙げれば回避される可能性があるのかもしれません。
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