アップルは昨年11月にも新型Mac発表イベントを行うと噂されつつも、結局は開催しませんでした。お披露目が予想されていたM2 Pro / M2 Max搭載14/16インチMacBook Proも、結局はWebサイトでのニュースリリースのみでの発表となっています。
しかし、今年初のメディア関係者向けイベントが米ニューヨークで開催され、それはiPhoneやiPad、Apple TVやMacに登場予定の「ゲーム」に焦点を当てたものとなりました。
アップルが出版関係者やインフルエンサーを招いたイベントを行うことは珍しくありません。が、今回はすべてゲームに集中。数多くのゲーム開発者も参加し、アップル製プラットフォームをあたかもゲーム機のように扱う趣向でした。
たとえばYouTuberのJacklyn Dallas氏はInstagramに「Apple ArcadeやMac用アプリを作る開発者の集まりでした(中略)。開発者の方々は新製品に対してとても非常に情熱的で、とても楽しい時間を過ごせました」と伝えており、要はインフルエンサー達にゲームへの思い入れを深めてもらう場だったようです。
この場でアップルが遊べる形で用意したゲームは、ざっと次の通り。
「Call of Duty: Warzone Mobile」(2023年内にリリース予定)
「崩壊:スターレイル」(ベータテスト中)
「Lego Starwars castaways」(Apple Arcadeで配信中)
「Run Legends」(フィットネスバトルゲーム。配信中)
「The Medium」(今夏発売予定のホラーアドベンチャー/PC版は2021年1月発売)
これらの中でも好評を得ているのが、まずiOS用の「Call of Duty:Warzone Mobile」。現在の最上位機種iPhone 14 Pro Maxではグラフィックも良好、120fpsで滑らかに動いた一方で、数年前のiPhoneでも十分に遊べるよう最適化されているとのこと。ただしプレイ中にデバイスが熱くなったり、激しい対戦の終わり間際に完全にクラッシュしたりと、バグが取り切れていないようです。
もう1つがAppleシリコンMac向けの「The Medium」。デモ機は新型M2 Mac miniだったものの、Nvidia RTX 3080を搭載したPCで見たときと変わらぬ印象だったとのこと。ゲームは4K解像度と最低でも 60fpsで動き、デュアル・リアリティ(現実世界と精神世界の同時プレイ。画面が2分割)ではときおりカクついたものの、おおむね持ちこたえたそうです。
開発元のBloober Teamは、本作はM1/M2搭載Macでテストされており、基本構成のMacBook Air(2020) でも十分に動くと説明したと伝えられています。
なぜApple Arcadeにも含まれず、アップルが開発したわけでもない「The Medium」がイベント中にかなりのウェイトで紹介されたのか。それは近年の「Appleシリコン搭載MacをゲーミングPCとして売り込む」姿勢の延長上にあるのでしょう。
昨年の世界開発者会議(WWDC 2022)でも、アップルは「バイオハザード ヴィレッジ」や「No Man’s Sky」をプッシュし、ゲーム向けグラフィックAPIのMetal 3を「Appleプラットフォーム全体でゲーム体験を実現するソフトウェアの最新バージョンであり、Macでのゲーム体験を新たな高みに導く新機能が搭載」とアピールしていました。
アップルはiOSのApp Storeで配信されているゲームを通じて莫大な利益を上げていますが、その成功体験をApple TVやMacに持ち込もうとする噂が何度か伝えられてきました。たとえば強力なチップをApple TVに搭載して「ゼルダBOTW」のライバルになるゲームを開発中である、eスポーツに特化したMacを準備中だ、という具合です。(ブレスオブザワイルドはNintendo Switchの非力なプロセッサで動作しますが)。
もっとも、アップル自身が強力なAAAタイトルを開発するつもりがない以上、ゲーミングMacの成否は大手サードパーティのやる気に委ねられています。
たとえばカプコンは「バイオ村」とともにゲームエンジン「RE ENGINE」をAppleシリコンMacに持ち込んでおり、つまり「デビルメイクライ5」や「ストリートファイター6」の移植も難しくはないはず。それら有力タイトルが投入されるかどうかで、ゲーミングMacの将来が占えそうです。
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