任天堂のゲーム機ゲームキューブやWii用ゲームのほとんどを動かせるエミュレータ「Dolphin」は、3月末にSteamページを開設し、2023年後半に正式リリースされる予定でした。
しかしDolphin開発チームは、Steamでのリリースを無期限に延期したと発表しました。Steam運営元のValveが任天堂からデジタルミレニアム著作権法(DMCA)のテイクダウン通知を受けたため、問題が解決するまで当該ページは削除されたと説明しています。
米PC Gamerが確認した5月26日付の法的通知によれば、任天堂の法務チームはDolphinが同社の知的財産権を侵害しているとして、Steamから削除するように要請。
そこに書かれた法的根拠は、主にDMCA17巻1201条の「著作権保護のため著作物に設定された技術的保護手段の回避」を禁じる規定、つまりコピーガードやアクセスコントロールの解除禁止に基づく権利で、それを含みつつ「これに限定されない」任天堂の知財を侵害していると記述されているそうです。
この通知により、今後Dolphinチームが取り得る選択肢は2つです。1つは、エミュレータが任天堂の主張するDMCAに違反していないとしてValveに異議を申し立てる。もう1つはテイクダウン通知に従って、Steamページが削除された現状を受け入れることです。
もしも異議を申し立てた場合は、米国著作権連盟の説明によれば、任天堂が2週間以内に訴訟を起こせばSteamページは削除されたまま。訴えなかったら、Dolphinページが復活する見通しです。
ともあれ、現在Dolphinチームは選択肢を調査中であり、近日中により詳細な対応をする予定だと述べています。
もっとも任天堂からDMCAテイクダウン通知を受けたのはValveであり、Dolphinチームではないためか(少なくとも受けたとの言及はなし)、記事執筆時点では、まだDolphinエミュレータはプロジェクトの公式サイトやGitHubページからダウンロードが可能です。