アップルが、拡張現実(AR)ヘッドセットを開発するスタートアップ企業、Miraを買収したと報じられています。
Miraという企業については、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンおよびユニバーサル・スタジオ・ハリウッドの「スーパー・ニンテンドー・ワールド」エリアにあるアトラクション「マリオカート ~クッパの挑戦状~」で、入場客が着用するヘッドセットに技術供与しているメーカーだといえば、身近に感じる人も多いことでしょう。また、Prism Proと称するARヘッドセット製品を各種製造業や米軍向けに提供しています。
「マリオカート ~クッパの挑戦状~」で使用されるヘッドセットは透過バイザー型で、額の位置に備えたディスプレイをバイザーに反射させ、現実の視界に映像を重ねて表示する仕組みになっています。
アップルは6月6日に開幕したWWDC23の基調講演で「空間コンピューター」と説明するヘッドセット製品「Vision Pro」を発表したばかり。これにより、アップルはAR製品市場の開拓と、そこにおける地位の確保および強化を目指しているはずで、今回の買収もその戦略の一部と言えそうです。
Vision Proは、これまでにiPodやiPhoneなどを開発して市場を切り開いてきたアップルによる、久々の新ジャンルの新製品ですが、価格が3499ドル(約49万円)もすることから、多くの人たちにとってはおいそれと手出しできるものではありません。
Miraは手頃な価格帯のARヘッドセットの開発に関する技術的知識、快適な装着性などユーザーエクスペリエンス面の知見を持っているとされます。
Miraの買収で、アップルがより安価なヘッドセット製品を開発することが可能になり、さらにMiraのチームがアップルのARプロジェクトに加わることで、そのユーザーエクスペリエンスを向上することなどが期待されます。またMiraが強い製造業界に対し、業務用としてVision Proを売り込むことも考えられるかもしれません。