英国警察は、緊急サービス用の電話番号「999」への誤発信が記録的な数に増加していると市民に警告しました。原因はAndroidスマートフォンが搭載する緊急通報ショートカット機能だとしています。
英国の全国警察本部長評議会(NPCC)は、この問題に大きく影響していると思われる原因のひとつとして、Android スマートフォンのアップデートを挙げています。GoogleはAndroid 12で、電源ボタンを5回以上続けて押したときに、緊急通報するショートカット機能を搭載しました。これがユーザーのバッグやポケットなどのなかで不意に発動しているとのことです。
英国では、警察と救急・消防への緊急通報すべてが999番で受け付けられます。この番号にかけると、オペレーターが事情を聴いて必要な手続きをとるわけですが、仮に無言電話がかかってきたとしても、相手がうまくしゃべれない状況に陥っている可能性もあるため、オペレーターは電話が切れるまで問いかけを繰り返します。そして酷い例では、20分もの時間を無言電話に費やしたオペレーターもいるとのことです。
Android 12は2021年にリリースされ、デフォルトでこの緊急通報ショートカットが有効になっています。多くのユーザーが最新版のiOSを使用するiPhoneとは異なり、Androidの場合はスマートフォンメーカーが自社デバイスに最適化した独自のビルドを導入するしくみであるため、Googleがリリースした最新版のOSを、スマートフォンメーカーが自社のデバイスに提供するかどうかを決定し、提供するまでに数か月から長ければ数年のタイムラグが発生します。
Android 12における緊急通報の問題は、2021年にGoogleがそれをPixel向けにリリースした際、すぐにRedditなどにユーザーからの報告があがりましたが、事情を知らないユーザーも多く、意図しない緊急通報はこれまでなくなっていない模様です。さらに昨年のAndroid 13のリリース以降、この問題の発生が増加しました。
もちろん、設定で緊急通報のショートカットをオフにすれば済む話ではあるものの、この設定の場所もメーカーによってまちまちです。Google Pixelなど一部のスマートフォンでは、システム設定のなかのみつけやすい場所にあるものの、たとえばサムスンがGalaxy S23など一部機種向けに今月リリースしたAndroid OSアップデートは、緊急通報のショートカットに関する設定項目そのものをなくしてしまったと報告されています。
Googleの広報担当者は英BBCからこの問題について問い合わせを受け、緊急通報機能をスマートフォン上でどのように動作させるかを管理するのはメーカー側の責任だと回答しています。ただしGoogleとしては、この問題に対処するための追加のガイダンスおよびリソースをメーカーに提供したとのこと。もしメーカーがこの問題への対応を行うと決めた場合は、少しまてば緊急通報問題への対策パッチがリリースされるかもしれません。
ちなみに、今回の問題は英国に限った話ではない模様です。欧州緊急番号協会(EENA)は今月はじめ、一部会員から「Android端末からの自動誤発信の急増」に関する報告を受けたと述べています。また日本でも、SNSなどで「Android 緊急 警察」といったワードで検索すれば、同様の語発信をしてしまった例が多数報告されています。Androidユーザーなら、多少面倒でもいちど緊急通報に関する設定を探し出して確認しておくのが良さそうです。
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