YouTubeは動画の再生時に挿入される広告と有料サブスクリプションを収益源とするビジネスモデルを採用しており、継続して収益を増やすには多くの広告をユーザーに視聴させる必要があります。
そしてYouTubeは現在、広告ブロックを使用している一部ユーザーを対象に、広告を表示させなければ残りの再生回数は3回だけ、以降はプレーヤーをブロックすると警告する実験を開始しました。
このテストは今週水曜日に、目撃したユーザーから掲示板サイトRedditに報告がありました。投稿画像では「動画を3本の再生後、動画プレーヤーをブロックします」というタイトルのポップアップに「あなたは広告ブロッカーを使用しているようです。YouTubeを許可リストに登録するか、広告ブロッカーを無効にしない限り、動画の再生をブロックします」と注意を促す文章が添えられています。
さらに「広告のおかげで、YouTube は世界中の何十億人ものユーザーに無料であり続けることができます」「広告を無くしたければ、YouTube Premiumに登録することができます。またクリエイターになれば、サブスク収入から支払いを受けることもできます」と、取りっぱぐれを無くすためのユーザーへの選択肢を提示しています。
結局のところ、このポップアップが表示されたユーザーには抵抗する術はなく、素直に広告ブロッカーをオフにするか、YouTube Premiumで毎月料金を支払うかの2択となります。
最近はやけにYouTubeの広告が増えたような気もします。場合によっては動画の尺よりも事前に再生される広告の方が長いこともあるかもしれません。そうなると広告をブロックしたいと考えてしまう人もいるかもしれませんが、サービス提供者の意図に反して広告ブロック機能を使用する行為はペナルティ対象とされても仕方ありません。
なお、YouTubeが広告表示に関する試験を実施したのは今回が初めてではなく、5月にもポップアップの文言こそ異なるものの、やはり広告を表示するか、YouTube Premiumに登録するかの2択を提案するテストを実施していました。
今後YouTubeがこの試験で行った警告を本格的に導入するのかはわかりません。また今回の試験が世界のどの地域で、どれぐらいのユーザーを対象にして行っているかについても明かしていません。
ユーザーは無料で動画を視聴し続けたいのなら、ユーザーは広告の表示に協力するほかなさそうです。YouTubeはIT技術ニュースサイトBleepingComputerに対して、「警告を無視して広告ブロッカーの使用を続ける極端なケースでは、動画再生を一時的に無効にする」「われわれは再生の無効化を非常に真剣に考えており、視聴者に対するYouTube広告の許可を再三求めたにもかかわらず無視された場合に限り、再生を無効にする」と伝えています。
ちなみにYouTubeの親会社Alphabetは、4月に行った2023年第1四半期の決算報告で、広告全体の12%を占めるYouTubeの広告収入が3期連続の減少になったと報告していました。ただし、Alphabet全体の売上としてはクラウド部門が好調だったこともあり前年同期比3%増を報告しています。