Twitter がダイレクトメッセージ(DM)の回数制限と、一定数を超えた場合の有料化を発表しました。
今後は一日にDMを送れる回数に上限ができ、それ以上に送信したければ有料課金プランTwitter Blueに加入する必要があります。
日本時間7月22日にTwitter Supportが投稿した内容は、
「ダイレクトメッセージでのspamを減らす取り組みの一環として、近日中にいくつかの変更を実施します。非認証アカウントが一日に送信できるDMに上限を設けます。もっとメッセージを送るにはTwitter Blueに今日加入しましょう(リンク)」
非認証アカウント、つまり無料アカウントは一日のDM送信数に上限ができる一方、有料プランのTwitter Blueに加入して電話番号を確認した認証アカウントならそれ以上に送れるとのシンプルな内容です。
DM制限の回数や条件
しかし問題は、Twitter Blueへの即時加入を促すメッセージとリンクがある一方で、肝心の上限が1日に何件なのか、送信数の制限はどんな場合にカウントされるのか等の詳細に全く触れていないこと。
DMを誰から受け取るかの設定には三つの選択肢があり、既定では「フォローしているユーザーからのみ許可」になっています。つまり設定を変えていないかぎり、自分で選んでフォローした相手からしかDMリクエストは届きません。
フォローバック目当てに自分からspamアカウントを大量にフォローしているのでもないかぎり、一般にDMスパムで困るのは連絡手段として「すべてのアカウントからのメッセージリクエストを許可する」設定をユーザーが選んでいる場合です。
今回のDM回数制限が「(理由あってDM開放してるので) 知らない相手からspamのリクエストが大量に来て困る」対策であれば、「自分をフォローしていない相手へのDM送信回数に上限を設けます」で良いはずですが、今回の発表がそのような意図なのか、DMは無差別に制限するのかは不明。
たとえば相互にフォローしていて、以前からDMで会話している場合など、いわばお互いに相手をホワイトリストに追加している状態の場合、「spam対策の一環として」送信回数に制限を設ける意味は限りなく薄いはずですが、今回のDM回数制限がこれも対象にするのか否かも分かりません。
追記: 新しい相手へのDMリクエストだけでなく、すでに会話をしている状態で送信ができなくなったとの報告多数。「20件まで」との情報もありますが、手元ではどのアカウントでも20件以上送れています。制限が適用されるアカウントとそれ以外、あるいはTwitter側が緩和した等の理由かもしれません。
以前であればTwitterに問い合わせれば分かりましたが、現在のCTO兼オーナーのイーロン・マスク氏は買収後に広報部門を解散したため、こうした場合はマスク氏本人や発言を許された社員のツイート、サポート文書の更新を待つ必要があります。
(マスク氏による買収以来、Twitter広報アドレスに問い合わせを送ると排泄物の絵文字「💩」を自動返信する状態でしたが、つい先日からは「すぐに折り返しご連絡いたします」の無限ループに変わりました。「無限ループ」はマスク氏の発言。)
すでにフォロー関係にある場合、会話を続けている場合も回数制限の対象にする意味は薄く、普通に考えれば対象外になるはずではありますが、気になるのは今回の発表ツイートが条件を説明せず Twitter Blue加入を促す文言とリンクを含めていること。
Twitter のDMに関するサポートページにも今回の変更について短い注意書きが加わりましたが、特に字数制限がないはずのサポートページでも特に条件等はなく、Twitter Blue加入リンクと「今日加入しましょう」の文言があるのみ。
Twitterの経営難とTwitter Blue販促のインセンティブ
Twitterは先日、一日にツイートを表示できる回数を制限するAPI制限 (rate limit)を実施したうえで、Twitter Blue加入者ならば無料ユーザーよりも多く表示できる施策を導入していました。
今回のDM回数制限もspam対策が主であれば、自分をフォローしていない(DM開放)ユーザーへのリクエスト送信数に対する制限になるとは思いますが、手段を問わず Twitter Blue加入者を増やしたいのであれば、全体に制限を課したほうが加入者数を稼げることにはなります。
Twitter(X社)はマスク氏がLBO方式で買収したことから莫大な負債を抱えており、コスト削減のため社員の70%以上を解雇し最低限の人員のみを残したものの、利払いが収益を圧迫し経営が厳しい状態です。
つまり、もとから収益性が低く純利益が出たり出なかったりだった買収前と条件が全く同じだったとしても、単にマスク氏が買収したことにより大幅な赤字経営になる状態。
マスク氏自身、今年6月の時点でいまだに広告収益が回復せず、重い有利子負債の圧迫から赤字状態であることを認めています。
マスク氏は広告ビジネス専門の新CEOを雇うなど、広告主となる企業への説得を続けていますが、ユーザーが直接支払うサブスクリプションのTwitter Blue加入者数が増えれば、広告主の機嫌を取らずに固定収入が得られることになります。
X社内で、従来はTwitterの魅力でありユーザーが使う理由、無料ユーザーも含め広告が表示される理由だった部分を制限することも含め、手段を問わず Twitter Blue加入者を増やす方針になっていても不思議はありません。