英国のロックバンド Queenのブライアン・メイ氏が、世界初という小惑星の3D地図帳「Bennu 3-D: Anatomy of an Asteroid」を出版します。
この地図帳は探査機OSIRIS-RExが取得した小惑星ベンヌのデータをもとに作成したもので、OSIRIS-RExミッションの主任研究者でアリゾナ大学の惑星科学者でもあるダンテ・ロレッタ氏が共著者となっています。
2016年9月8日に打ち上げられた小惑星探査機OSIRIS-RExは、2018年の暮れにベンヌに到着し、種々の観測活動を経たのちにサンプルを採取しました。
その後ミッションは帰還フェーズに入っており、現在は地球から約8300万kmの位置を航行中です。ベンヌが持ち帰るサンプルは9月に地球に届けられる予定。このサンプルを分析することで、いまから45億年前に太陽系がどのように形成されていたのかを知る手がかりになることが期待されています。
メイ氏とロレッタ氏は、2020年にもベンヌやリュウグウといった小惑星の形成に関する論文を共著し、Nature Communicationsに発表しています。
今回の「Bennu 3-D: Anatomy of an Asteroid」では、小惑星ベンヌに関する120枚のイラスト、50枚の地図、そして80枚の立体写真が掲載されているとのことです。解説には「この本は、世界初の完全(かつ立体的)な小惑星の地図帳」だと記されており、メイ氏がOSIRIS-RExによるサンプル採種の取り組みに参加し、採種のための着陸ポイントの決定にも関与していたことが説明されています。またこの本の立体写真はOSIRIS-RExのカメラで撮影された数々の画像のなかから厳選され、作成されたとのことです。
メイ氏は長年ステレオグラム(立体視画像)に凝っており、数年前には1970年代から撮りためたクイーンのバンド活動の写真を収めたステレオグラム本「Queen in 3-D」を製作、さらに昨年11月には、世界各国から集めた選りすぐりの自然の風景をステレオグラム化した写真集「Good For You: Life In 3-D」も出版しています。
さらに、JAXAの「はやぶさ2」ミッションとも交流があり、はやぶさ2がリュウグウを観測していた期間には、たびたび小惑星リュウグウの画像データから3D写真を作成していました。
「Bennu 3-D: Anatomy of an Asteroid」は7月27日に英語版が発売予定となっています。日本のAmazonでは英語版が予約を受付中ですが、輸入本になるためか配送時期は8月下旬とされています。
ちなみに、2020年に行われたクイーン&アダム・ランバートでの来日公演では、小惑星の上にメイ氏が降り立ち、ギターソロを演奏するという演出もありました。