GoogleがChromebookで採用しているChromeOSは、LinuxカーネルをベースとしたセキュアなOSにシェルとしてWebブラウザのChromeを組み込むことで、高速に起動し、しかも起動後すぐにWebアプリケーションを利用できることを大きな特徴としています。
Googleは現在、このOSとWebブラウザが一体化していることを特徴とするChromeOSからWebブラウザのChromeを分離する、「LaCrOS」と呼ばれる新アーキテクチャへとChromeOSを進化させようとしています。
新アーキテクチャでは、ChromeはWindows版やMac版などほかのOS対応と同様に、ChromeOS対応のChromeとしてOSから独立したアプリケーションとなります。
ワンバイナリのモノリシックなChromeOSを変革
ChromeOSからChromeを分離する目的は、今後のChromeOSとChromeそれぞれのメンテナンスの容易性や発展性を確保するためだとGoogleは説明しています。
というのも、前述の通り現時点のChromeOSはOSとChromeがワンバイナリで構成されるモノリシックなアプリケーションで、その内部は複雑です。
ChromeOS開発チームは、WebブラウザのChromeの新リリースが登場すると、それをこのモノリシックなChromeOSに組み込むという開発作業をしなければならず、バグや脆弱性を排除しきれないリスクを抱えています。
ChromeOSからChromeを分離することで、こうした移植時のリスクを軽減することが期待されるわけです。
またChromeOSとChromeそれぞれ適切なタイミングでアップデートが可能になることも利点でしょう。
LaCrOsへの移行はユーザーにとって透過的に行われる
新アーキテクチャ「LaCrOs」を採用したChromeOSは年内にもリリースされる予定ですが、Googleはこの移行によって互換性が失われることはなく、ユーザーにとって透過的に行われることを強調しています。
LaCrOs登場後も互換性のために半年はChromeOSの内蔵ブラウザと独立したChromeの2つを用意し、ユーザーが切り替えられようにするともしています。
この記事は新野淳一氏が運営するメディア「Publickey」が2023年9月6日に掲載した『Google、ChromeOSからChromeを分離する新アーキテクチャ「LaCrOS」を年内に開始、Chromeは独立したアプリに』を、テクノエッジ編集部にて編集し、転載したものです。