米連邦通信委員会(FCC)は、人工衛星EchoStar-7を退役させた後、適切に軌道から退居させなかったとして、Dish Networkに対して罰金15万ドル(約2230万円)を科したと発表しました。これはスペースデブリの取り締まりにおけいて企業に課せられた初めての罰金措置とのこと。
2012年、FCCはにDish Networkが提出した、EchoStar-7をミッション終了後、対地同期軌道から約3万6000km上空にまで移動させる計画を承認しました。
そして、Dishは2002年から20年間運用したこの衛星の退役3か月前、2022年5月に、予定の高度まで移動させる準備を開始しました。ところがこのとき、オペレーターは衛星を予定高度まで移動するだけの推進剤がもはや残っていないことに気づきました。
米国のルールでは、宇宙で運用を終了した衛星などの宇宙機は通常、大気圏に再突入させて消滅させるか、ニュージーランドと南米チリの中間ぐらいにある太平洋上の「ポイント・ニモ」と呼ばれる場所にデブリを落下させます。
またそうでない場合は、古くなった宇宙機を遠く離れたGraveyard Orbit、いわゆる墓場軌道にまで押し上げ、有害なスペースデブリになってしまうのを防止します。今回のケースでは、Dishはこの最後の移動に必要な推進剤を残していなかったということです。
FCC執行局長のLoyaan Egal氏は声明で、「衛星の運用がより普及し、宇宙経済が加速するにつれて、運用者が約束を確実に順守するようにしなければならない」と述べています。
また、今回の罰金措置については「FCCが非常に重要なスペースデブリに関する規則を執行する強力な執行権限と能力を持っていることを非常に明確にする」ものだと述べています。
なお、2002年2月に打ち上げられたEchoStar-7衛星は、現在のFCCの規則にある、退役する静止衛星は必ず廃棄軌道に移動させるという取り決めには縛られていません。FCCはこのことを踏まえ、Dishには大規模な衛星群を安全に飛行管理してきた長い実績があり、今回の出来事に対する責任も真剣に受け止めている」と評しています。
またDishは罰金の他に、推進剤の予備を正確に追跡管理する方法を開発・改善し、運用中の各衛星をいつ、どのように廃棄するかについて詳しく報告し、従業員が宇宙の規則と運用手順に遵守できるようにするための訓練を実施、さらにこれらの取り組みを管理監督するコンプライアンス担当の幹部従業員を30日以内に選定するとしています。