トヨタがジャパンモビリティショーに、新型ランドクルーザー250シリーズを出展しています。北米仕様のグレード名のひとつに「ランドクルーザー1958」という名を冠したことからもわかるように、その外観はランドクルーザーがはじめて北米で発売された1958年のモデルをオマージュしたもの。丸目ヘッドライト(角目も選択可能)に、グリルには燦然と輝くTOYOTAの文字が!
これだけでもう往年のランクルファンは財布の紐が緩みそうなんですが、そのクラシカルなデザインにかかわらず、今回のモビリティショーでは「NEO Steer」(以下ネオステア)と名付けられた、手だけで運転操作が行える次世代の操作系を搭載したモデルを参考出展し、新しいモビリティの操作系を提案しています。
ネオステアは従来の丸いステアリングではなく、F1のステアリングを彷彿とさせる形状を採用。ステアリングの右上にアクセル操作用のレバー、裏側の左右にブレーキ操作用のレバーが2本あります。
アクセルレバーは親指で押し込むというより、右手でステアリングを軽く内側に絞り込むように操作する感じ。ゲームコントローラーに近いイメージです。ブレーキレバーは人差し指・中指・薬指の2~3本を使って操作する感じで、競技用自転車に近い操作感でした。
また、ステアリングの下部には平たいバーがついています。ここに掌の下部を載せることで、各種レバーがしっくりとくる位置になるようデザインされており、さらに運転時の疲れを軽減できるとのことです。
"すべての人が楽しめるものを作ろう!"とわずか1年で形に!
ネオステアの開発期間はわずか1年ほど、そのきっかけはチェアスキーのパラアスリート森井大輝選手(所属トヨタ自動車)が、とある施設の駐車場で豊田章夫会長とかわした立ち話。
そこで、森井選手の愛車ランドクルーザー200の手動運転装置に興味を持った豊田会長は「従来の手動運転装置で何か困りごとはありますか?」と質問。それに対し森井選手は「常に片手での運転なので、運転姿勢が悪かったり疲れたりしやすいです。両手でステアリングを持てるものがあれば……」と返答。その日の午後には上司から電話がかかってきて、ネオステアの開発がスタートしたそうです。
ネオステアの開発には新型ランドクルーザーのチーフエンジニアでもある森津圭太氏も参加。森井選手と「車椅子ユーザーだけでなく、すべての人が楽しめるものを作ろう!」という目標を掲げて開発されたといいます。開発が進む中、コンセプトをバイクや自転車から得て縦置き配置としたことで、試作品を体験したスタッフは皆、直感的にスッと運転に慣れたとのこと。そして「手だけで車を動かせるのはこんなに楽しいのか!」と驚いたそう。
ちなみに、ネオステアの試乗車を体験した豊田章男会長は「すごいのできたね」と喜んでいたそうです。
新しいのにしっくりと馴染むネオステア
そんな豊田会長のお墨付きでもあるネオステア、ジャパンモビリティショーのトヨタブースでは、グランツーリスモとコラボレーションしたステアリング体験ブースが併設されていたので、筆者も体験してみました。
最初はネオステアでの操作感に戸惑うんだろうな~と思っていましたが、首都高を模したコースを1週も走らないうちに「あれ? 通常のステアリングシステムよりいいかも!」という気持ちが! 2週目、その日のファステストLAPを出した後には「もうこれからの車はこのネオステアでいいのでは! ていうかこのゲームコントローラー売ってください!」という感じになっていました。はじめてなのに何故かしっくりくるんですよ!
担当者さん曰く、このシミュレーターは実車に装着しているものと同じバイ・ワイヤ方式で操作しており、実車でコントロールするスロットルセンサー代わりに、ゲームコントローラーのそれぞれの入力端子をハックしているとのこと。
そして特筆すべきは、ステアリングのステア・バイ・ワイヤ。車速に合わせて舵角がバリアブルに変化するのですが、これがかなり自然。大きな当て舵をすることなく、最小舵角でラインを綺麗にトレースできる感じなんです! さらにF1形状のステアリングは非常に保持がしやすく、狙ったラインがほぼブレない! この感覚は従来の円形ステアリングにはないモノでした。
これからジャパンモビリティショーに足を運ばれる方は、トヨタブースでネオステアを体験してみてください。ひと足先に未来のスポーツドライビングを感じることができると思います。超オススメ!