両腕Pixel Watchで生活して思案した、Pixel Watch 2の価値(Google Tales)

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佐藤由紀子

IT系海外速報を書いたり、翻訳を請け負ったりしています。初めてのスマートフォンはHTC Desire。その後はNexus 5からずっとGoogleさんオリジナルモデルを使っています。

特集

初代Pixel Watchを使い始めてかれこれ1年。充電するお風呂タイム以外はほぼいつも一緒でした。そこにPixel 8 ProとPixel Watch 2が降臨。Pixel Watchもバックアップと母艦(接続先のスマートフォンのことです)の移行ができるようになり、さらに10月の月例アップデートでWear OS 4.0になったので、しばらく両腕にPixel Watchesを付けて使ってみました。(記事末に恒例の新旧スペック比較表を載せました)

▲両腕にPixel Watches(イラスト:ばじぃ


Pixel Watch(先代)の母艦もPixel 8 Proに移行してみた

Pixel Watch 2が出る直前まで、Pixel Watchにはバックアップ機能がなく、母艦を変えるにはリセットするしかなかったのですが、ようやくバックアップと母艦移行の機能がつきました。また、Watchアプリのアップデートで、複数のPixel Watchを登録できるようにもなりました。せっかくなので、先にPixel Watch 2を接続したPixel 8 Proに、それまでPixel 7 Proを母艦にしていたPixel Watch(以下「先代」と呼びます)も移行しました。

Pixel Watch 2(以下「2くん」)のバッテリーの保ちが先代と同じくらい短いのなら、Apple Watchユーザーの夫と同じように、片方を充電しつつ、2台を交代で使おうと思ったのでした。

結論から言うと、それはやめました。理由は2つ。

  1. 2くんのバッテリーは、ぎりぎり1日持つ

  2. Fitbitは1アカウントに1台しかスマートウォッチを接続できない

2は知ってびっくりでした。もともとフィットネスには関心がないので、Fitbitは使わなくてもいいくらいなんですが、睡眠トラッキングは面白いので使ってます。夜に先代くんを巻くことにすると、Fitbitに接続していないので睡眠トラッキングができません。Appleのフィットネスアプリは、複数のApple Watchを接続できるのに。

▲Fitbitアプリには1台しか登録できないと、ヘルプに書いてありました

そうなると、Watchアプリに2台登録できるメリットとは?となりますが、せっかくできるので先代もPixel 8 Proに移行しました。何度かエラーが出ましたが、無事移行完了。

▲Watchアプリに2台のPixel Watchを登録。

先代くんでは、ウォレットにSuicaを登録するのがちょっと難しかったんですが、先代から2くんへのSuicaの移行は驚くほど簡単。画面の指示に従ってすいすい移行できました。

Suica使いまくってビールを買うつもりが

2くんに一番期待したのは、バッテリーがどれだけ長持ちするようになったのか、でした。バッテリー容量が増えたし、プロセッサが省電力高性能を誇るQualcommのSnapdragon W5+ Gen 1にグレードアップしたからです。Googleは「常に画面をONでも24時間」と謳っています。

ところが装着初日、朝80%だったバッテリーが、夕方16時には15%になってしまいました。

その日は横浜オクトーバーフェストで2くんのSuicaを使いまくるぞ、と張り切っていたのですが、Suicaで会場の赤煉瓦倉庫まで行ったら残り15%に。帰りの電車賃が心配なのでビールをSuicaで買うのは諦めたのでした。

それ以後、常時ONではなく、「傾けて画面をON」だけにしています。それでも気づかないうちに一所懸命働いているらしく、日によって夕方には5%くらいになったこともありました。センサーも増えて、忙しく働いているので消耗するのかもしれません。

▲外出先では見たくない表示です

両腕に巻いた2本のバッテリーの減りをときどきチェックしたんですが、Fitbitと接続していない分、先代の方が頭は使わないので、この実験にはあまり意味がなかったです。充電前の残量は、あるときは先代が62%で2くんは35%のときもあれば、40%対58%で2くんの方が優秀なときもありました。

嬉しいのは充電が速くなったこと。先代はお風呂タイム(50分くらい)で100%にならないことが多かったのですが、2くんは残量が5%でも、ほぼ100%になります。

公称では、カラの状態で約45分の充電で80%に、満タンになるのは約80分だそうです。チャージャーの充電盤は先代と共有できない4つのぽっち(pogo pin)付きで、いかにも高速充電できそうな面構えです。pogo pinはFitbitデバイスのチャージャーでおなじみ。

▲先代のチャージャーよりちょっと小さくてぽっち付き

「傾けて画面をON」は便利なのでこのまま使いたいですが、夜遅く帰宅するときなどに最後まで使えるか不安なので、お風呂タイムだけでなく、朝起きて身支度している間(20分くらい)にも充電することにしました。これで1日を100%からスタートできます。

外出先でも気軽に充電できると安心なんですけどね。チャージャーは軽量(22g)なので、小型モバイルバッテリーに追加で携帯するのは苦になりませんが、スマートフォンのように充電しながら使うことはできない(充電中はセンサーが使えないから)ので、長旅でなければチャージャーを持ち歩く気にはなりません。

▲無理やり腕に付けたまま充電してみた

ストレッチバンドだと腕につけたままの充電がしやすいです(バンドは先代と共通です)。私は奮発して新登場のメタルスリムバンド(2万5300円)にしちゃったんですが、これも留め金を1つ外せば腕につけたまま充電できます。

なお、先代のチャージャーは向きを気にせず使えたのですが、2くんはマグネットの作用でリューズ側にケーブルが来るようにしか置けなくなっています。

▲正しいチャージ方法

心拍数が正確になった?

2くんが先代よりよくなったことの1つに、センサーが増えて心拍数などの身体の状態検知が正確になったというのがあります。でもそれは、激しい運動をしたときのこと。普段は2つの画面でほぼ同じ心拍数が表示されていました(心拍数はFitbitに接続しなくても表示されます)。激しい運動はここ数カ月しておらず、宝の持ち腐れです。

歩数は、Fitbitに接続していない先代はカウントしなくなりました。Fitbit Todayというアプリの機能だったようです。

ストレスマネジメントって?

フィットネスとかヘルスケアに関心がないくせに、Fitbit Premium(年会費6400円)に加入してしまっています。睡眠プロフィールとストレスマネジメントが面白そうだったので。

2くんには寝ている間だけ皮膚温度を測ってくれる機能があって、これはいわゆる体温計ではないのですが、たぶん異常な高熱を出したりすると警告してくれるんでしょう(幸いまだそんな状況になったことがありません)。

ストレスマネジメントは、もろもろのセンサーでユーザーがストレスを感じていることを検知して記録する(らしい)。これまでに1度だけ、仕事のミスに気づいたときに通知が表示されたんですが、慌てていたのでスクリーンショットをとりそこないました。もともとストレスが少ないタチなんで、今のところ再現できていません。いいような、悪いような。

▲Fitbit Premiumの皮膚温、睡眠プロフィール、ストレスマネジメント

ストレスが検知されたら、Apple Watchの「呼吸」のような「Fitbit Relax」で深呼吸すればいいんですが、大抵はそんな心の余裕はなかったりします。

ワークアウトの検出、Fit Boxing 2は検出しない

Fitbitの新機能、ワークアウトの自動検出は便利です。Apple Watchに同じ機能があるのを羨ましく思っていました。初期設定ではウォーキングを含む7種類のワークアウトが自動検出されるようになっています。

あと、Fitbitのワークアウトにはなぜかボクシングがありません。私の唯一の運動、SwitchのFit Boxing 2をやるときにセットしたいのに。一番近いのは「キックボクシング」だと思ってとりあえず選んでます。今のところ、自動検出はしてくれません。

Gmailでメールを全文読めるようになった

これは2くんのではなく、Wear OS 4.0の新機能なんですが、Gmailアプリをインストールできるようになりました。これまでもメールの着信の通知は受けられましたが、全文を読むことはできませんでした。それが、メール全文を読んで返信もできます。

まあ外出先で音声入力やちっさいキーボードで返信を入力するのは私には無理なので、返信は母艦から、ということになりますが。

▲Gmailアプリで長文も読めるし、なんなら返信もできます。

メールやメッセンジャー、SMSのプッシュ通知にはGoogleさんお得意のAIによる短いお返事「スマートリプライ」が表示されるのに、Gmailアプリには今のところスマートリプライ機能がついていないのは不思議です。

母艦で設定したおやすみモードが反映されるように

海外速報担当という仕事柄、朝5時から仕事を始め、夜10時半には眠くなっちゃう日常なんですが、仕事先の皆さんは午前1時ごろまで普通にメッセージのやりとりをしています。メッセンジャーの通知を有効にしていると、寝ていても腕にぶるぶると通知がきていましたが、2くんは母艦のおやすみモードが反映されるので、いちいち通知をオフにしなくても心安らかに眠れるようになりました。

全体的な感想

一番良くなったのはやっぱりバッテリー持続時間だと思いました。「傾けて画面をON」はやっぱり便利なので使いたいし(先代くんでは不安だった)、夜までSuicaを使いたいし。

あとはこまごまと良くなったなぁというところがあります。2くんを初めてのPixel Watchとして購入する人は幸せだと思います。

いずれにしても、私は母艦がPixelなので、スマートウォッチを選ぶならPixel Watchシリーズがいいと思います(競合を試していないので言い切れないですが)。

よく使っている機能は、時計、Suica、お天気チェック、紅茶を入れるときのタイマー、メールやメッセージのプッシュ通知、リマインダーなどで、Fitbit機能は宝の持ち腐れですが、満足してます。

ウォッチフェイスはGoogle謹製ではなく、サードパーティ製の「TOP GUN」を先代から使っています。謹製にはバッテリー残量をスロットで表示するデザインがないので。

Pixel Watch 3が出るなら、Apple Watchと同じように購入時にベルトも選べるようになるといいなぁ。付属の「フルオロエラストマー」バンドは個人的に触感が苦手なので使わないのです。

▲メタルスリムバンドのPixel Watch 2とBayカラーのPixel 8 Pro

買い替えるべきかPixel Watch 3を待った方がいいか

先代を使ってとても気に入っていて、経済的に余裕があるのであれば、バッテリーの持ちがよくなった2くんにアップグレードするのがお勧め。でも、GoogleがPixel Watch 3もちゃんと出してくれるなら、1年見送ってもいいかも。QualcommとGoogleは今月、共同で「RISC-V」ベースの「Wear OS」向けSoCを開発すると発表しているので、これがWatch 3に載る可能性があるからです。そうしたらバッテリーの保ちもさらに良くなりそう。

フィットネスとヘルスケアに関心が高い人にも、センサーがたくさんになった2くんはお勧めです。でも、フィットネス以外の電話とかプッシュ通知とかが不要ならば、Fitbit Charge 6の方がバッテリーが保つし軽いので、よりお勧めです。

最後に恒例の新旧スペック比較表を。

▲Pixel WatchとPixel Watch 2の主なスペック

《佐藤由紀子》

佐藤由紀子

IT系海外速報を書いたり、翻訳を請け負ったりしています。初めてのスマートフォンはHTC Desire。その後はNexus 5からずっとGoogleさんオリジナルモデルを使っています。

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