俳優のスカーレット・ヨハンソンが、AI画像生成アプリ『Lisa AI: 90s Yearbook & Avatar』の広告にAI生成した自身の肖像と声が使われていることに対して法的措置を講じ、取り下げさせました。
この広告は10月28日頃からX(Twitter)で流れはじめ、その後すぐにネット上から消えた模様です。エンタメ情報サイトVarietyが確認したところでは、この広告は冒頭部分は映画『ブラック・ウィドウ』の製作現場のシーンで始まり、話し始めたところで画面AI生成のヨハンソンに差し替わり、同じく生成されたヨハンソンの音声がアプリの宣伝をすると内容だった模様です。なお、広告画面の下辺部分には「Lisa AIで生成した画像。人物とは何の関係もありません」と免責事項が記されていたとのこと。
米国の多くの州では、広告や宣伝のために「名前、声、署名、写真、肖像」を無断で使用することには、プライバシー保護のために厳格な法律が定められています。そして、著名人の多くは今回のように許可なく名前や肖像を用いられたケースについては、訴訟を起こすこともあります。ただし、多くの場合は無断使用者に対する警告と使用中止を求める音で解決になることが多いようです。
ヨハンソンの弁護士ケヴィン・ヨーン氏は、ヨハンソンが「法的な立場でこの状況に対処している」と述べ、 「我々はこれらのことを軽視していない。このような状況における通常の行動方針に従って、我々はあらゆる法的救済策を講じて対処する」と付け加えました。
スカーレット・ヨハンソンと言えば、ハリウッドスターの中でも最もよく顔と声を知られた人物のひとりであり、ドルチェ & ガッバーナやルイ・ヴィトンといったハイブランドの広告の常連です。このような著名人の肖像を生成し利用しようというアイデアは、最近の画像生成AIの進歩を背景とした新しい現象であり、法的な影響の範囲などはまだはっきりしていません。
AIで著名人の姿や声を生成し宣伝に使用した例としては最近、トム・ハンクスが、AIによって再現された自身の肖像を歯科治療の広告に無許可使用されていたことに対し、視聴者に注意を呼びかけたことがありました。また、故ロビン・ウィリアムズの娘ゼルダも、父の遺志を考慮することなくその姿や声をAIで再現されることに対して不快感を示しています。