SpaceXが月、火星への有人飛行を目指す宇宙船Starshipの2度目の試験飛行を11月18日に実施し、上空約150kmの宇宙空間に到達しました。しかしStarship本体は最後に「予定外の早期分解(rapid unscheduled disassembly:RUD)」によって消滅しました。
SpaceXの大型ロケットは、離陸後の1段目ブースター「SuperHeavy」を分離して、さらに上空約150kmにまで到達することに成功しました。この分離時には、SpaceXが「Hot Staging」と呼ぶステージ分離技術を初めて試みました。この技術は、ロケットの1段目がまだ噴射を終えるまえに、上段ブースターに点火する方法です。
SpaceXのイーロン・マスクCEOはこの様子を捉えた印象的な写真をX(Twitter)に投稿しています。
まだ燃料が残るブースターに対して上段からの燃料噴射を行うのは危険なようにも思えます。今回1段目ブースターは、分離後ほどなくしてStarship本体から遠く離れており、ロケットの上昇には影響はありませんでした。その結果、今回の飛行は最終的に、前回打ち上げ時の飛行時間を超え、より長時間にわたり飛行を継続できました。
今回の試験飛行についてSpaceXは全体として「成功した」と述べています。ライブ配信のホスト役を務めたSpaceXの品質エンジニアリングマネージャー、Kate Tice氏は「SyperHeavyブースターと宇宙船の急激な分解(RUD)がありましたが、今日は全体としては非常に成功したと言えるでしょう。非常に多くのデータを得られたので、すべて次回の試験飛行を改善するのに役立てられます」としています。
ただし、1段目ブースターは分離した後ほどなくして上空で爆発し、Starship本体部分も打ち上げから8分後に「予定していなかった急激な分解」によって消滅しています。SpaceXの主任統合エンジニアJohn Insprucker氏は事実関係について「現時点でわれわれが理解しているのは、我々がメキシコ湾上空を飛行中に、第2ステージの自動飛行停止システムが燃焼終了間際で作動したようだということだ」と、ライブ配信のなかで述べました。
また、プエルトリコの気象レーダーは、おそらくStarshipの破片とみられる物体が大気圏に再突入し大西洋上へ落下するのを観測しています。
米国連邦航空局(FAA)は、予定外の爆発を2度も起こしたSpaceXの試験飛行を事故とみなしており、X(Twitter)への投稿で「FAAはSpaceXによる事故調査を監督し、SpaceXがFAAが認可した事故調査計画やその他の規制要件を遵守していることを確認する」と述べました。
そして今後、原因の調査を監督する予定だとしています。調査は開始した段階なので、結果がいつ出るのかはまだわかりません。ほかにもSpaceXには、今回の試験飛行で得たデータをもとにした修正や改善事項もあるはずなので、次回の打ち上げはそれらがすべて片付くまで待たなければなりません。
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