OpenAIは、この週末に解任したサム・アルトマン氏に対して、CEOに復帰を求める方向で協議しているようです。(※記事末尾に追記あり)
OpenAI取締役会は金曜日に「審査の結果、(アルトマンは) 取締役会とのコミュニケーションにおいて常に率直であったとは言えず、取締役会が責務を果たす能力の妨げとなっていたと判断した」と述べ、アルトマン氏を解任して技術責任者のミラ・ムラティ氏を暫定CEOとすることを発表していました。
取締役会はまた、社長兼取締役会長のグレッグ・ブロックマン氏は、会長職を解くものの社長の座にはとどまると発表しましたが、ブロックマン氏はアルトマン氏が会社を離れるのを受けて、「自分も辞めた」と当日夜に述べました。また、OpenAIの上級研究員3人もやはり同日に会社を離れたことが明らかになっています。
アルトマン氏の解任は全く予想されていなかったことであり、シリコンバレーはおろか世界中に大きなニュースとして伝えられました。The VergeがOpenAI内部の情報筋の話として伝えたところでは、突然の解任に驚いた研究スタッフたちはアルトマン氏をCEOに戻すよう取締役会に要求し、アルトマン氏が復帰せずに新会社を設立するのであれば、そちらへ移ると述べていると伝えられています。
Finantial TimesはOpenAIの関係者3人から得た話として、Thrive Capital、Tiger Global、Sequoia CapitalといったOpenAIの主要な投資企業らが、次のステップを検討するために週末を通じてアルトマン氏本人や、(新体制を協力していくとコメントを出していた)マイクロソフトとも連絡を取っているとしました。
ただ、こうした動きに対してアルトマン氏は突然の解任の後での復帰の要請に態度を決めかねており、少なくともガバナンスに関して大きな変更を要求するだろうと伝えられています。そのため投資家らは、アルトマン氏を解任した取締役会をいったん解散させて、アルトマン氏およびブロックマン氏の復帰と、臨時のCEOに指名されたミラ・ムラティ氏が引き続きOpenAIにとどまることを期待しているとのことです。
投資企業の多くは、アルトマン氏が次のステップに何を選ぶかにかかわらず彼をサポートするとしており、新会社を設立するかどうかもアルトマン氏の意思次第だとしています。
アルトマン氏は18日、X(Twitter)に「今日はいろんな意味で奇妙な経験をした。ひとつ予想外だったのは、それがまるで、生きているうちに自分への弔辞を読むかのような体験だったということだ」と述べました。また、19日時点で最新の投稿は「i love the openai team so much」となっています。
なお、冒頭に伝えたOpenAIのスタッフらは、アルトマン氏を太平洋時間18日17時までにCEOに復帰させなければ、会社を辞めると取締役に伝えたとされていますが、その後取締役会の対応がどうなったかは、記事執筆時点ではわかっていません。どのような結果に落ち着くのかが気になるところです。
※追記:11月19日(現地時間)、アルトマン氏とブロックマン氏はOpenAI本社にゲストとして呼ばれ、今後の対応について取締役会と協議を行っています。アルトマン氏は現取締役会4名の辞任をOpenAI復帰の条件としており、この日17時(現地時間)までに復帰の協議がまとまらなければ、新会社設立に動くものと予想されています。またアルトマン氏が「i love the openai team so much」と綴ったXの投稿には、ミラ・ムラティ暫定CEOを含む複数の主要なOpenAI従業員がハートマークやその他の絵文字1文字で返信していますが、これはもしアルトマン氏が復帰でなく新会社を設立する場合そちらへ移るとの意思表示だと複数メディアが伝えています。