Google Playストアでは、アプリ内のサブクリプションについて、Googleの課金システムを使えば一般的には15%、それ以外の決済システムでは11%の手数料を徴収します。いわゆる「Google税」として知られる仕組みです。
しかし、音楽ストリーミング大手Spotifyに対しては、独自決済システムでは0%、Google経由でも4%しか徴収せず、非常に優遇していることが明らかとなりました。
これは人気ゲーム『フォートナイト』開発元のEpic Gamesが手数料をめぐり、Googleを訴えている裁判のなかで証言されたことです。
Googleのグローバル・パートナーシップ担当責任者ドン・ハリソン氏が、「ユーザーがSpotify側で決済した場合は0%、Googleの決済手段を使った場合でも4%」と述べています。
Googleの弁護士は、この法廷でSpotifyとの契約条件を公開することが「他の当事者との交渉にとって非常に、非常に有害だ」と反対していました。それを押し切って、証言させた形です。
Googleは2022年3月、Spotifyと新たな契約を結んだと発表。今後はGoogle Play以外の料金支払い手段を模索していくとして、その手始めとしてSpotifyと提携したと述べていました。が、そこでは手数料には言及していません。
その一方で、他のアプリ開発者に対しても「ユーザー選択型決済の試験運用プログラム」への登録を呼びかけ。
こちらでは手数料はPlayストア内決済より4%だけ引き下げられますが、開発者は外部の決済代行サービスにも手数料を支払う必要があるため、金銭的なメリットはほとんどありません。
さらにハリソン氏が過去のメールで、Spotifyとの特別契約が「市場におけるSpotifyの前例のない地位と交渉力」のために必須だったと述べたことも明らかに。また法廷でも同氏は、「音楽を聴くことは(スマートフォンの)主な目的の1つです。もしSpotifyがPlayサービスや中核サービスをまたいで機能しなければ、人々はAndroid携帯を買わなくなるでしょう」と述べています。
GoogleはThe Vergeに対して、ハリソン氏の発言が事実だと認めています。広報担当者は「AndroidとGoogle Playに直接投資する少数の開発者は、実質的な財政投資と様々なフォームファクターにわたる製品統合を含む広範なパートナーシップの一環として、手数料が異なる場合があります」と回答。
つまり、他にも手数料を優遇している大企業があると示唆しています。
ここ最近、Googleが大企業を特別扱いしていることが次々と暴かれています。たとえば米司法省との反トラスト法裁判では、アップル製品のSafariブラウザ経由で得た検索広告収益のうち、実に36%をアップルに支払っていると明らかにされました。Googleが危惧したとおり、中小のアプリ開発者の間で不満が高まるかもしれません。