M3 Pro搭載MacBook Proを買った。M1 Proからの機種変はどんな感じだったか(西田宗千佳)

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西田宗千佳

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フリーライター/ジャーナリスト

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1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。

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先日発売されたMacBook Pro(M3 Pro搭載版)を買った。いくつかカスタムした部分もあるため、到着には3週間ばかりかかり、つい数日前に手にしたばかりだ。

レビュー記事のためにM3版・M3 Max版はテストしているのだが、M3 Pro版のテスト記事はほとんどないと思う。そこで、せっかくなのでベンチマーク結果と考察を少し述べてみたい。


※この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2023年11月20日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。コンテンツを追加したnote版『小寺・西田のコラムビュッフェ』(月額980円・税込)もあります。



M1 Proでも十分なのだが……

筆者はこの2年間、M1 Pro版MacBook Proを使い続けてきた。正直、今も性能面で大きな不満はない。

今回の新モデルの場合、デザインや機構などに大きな変化はない。だから買い替える必然性が大きかったか、というとそこまででもない。

ただ、PC/Macは2年ごとに買い替え、比較的新しいものを知っておくことにしているし、M1 Pro版にまったく不満がなかったわけでもない。ストレージ容量ももう少し欲しいな、と思っていた。

また、Mac向けゲームも増加傾向にあり、GPUはもう一声強化が必要だと思っていた。

バッテリーも2年間で最大容量が2割弱落ちた。この辺を考えてもそろそろ買い替えどき、という判断である。

そこで、今回は以下の仕様を選び、買い方も少し工夫してみることにした。

・プロセッサ:M3 Pro上位版
・メモリ:18GB
・ストレージ:2TB
・キーボード:英語キー

この仕様にしたのは、プロセッサとしてM3ではM1 Proと差が小さく、M3 Maxは予算的に無理という判断からだ。逆にいえば、2年が経過しても最新プロセッサと遜色ない「Pro」は、おそらくM3世代でもお買い得であろう……という判断が働いた。この考え方が正しかったかどうかは、後ほど述べる。

メモリは16GBでも問題なかった。18GBになっているのは、M3世代の構成がそうなっている関係だ。32GBも考えたのだが、ストレージを2TBにする方が優先だったので、予算はそちらに回した。

M1 Pro版はストレージ1TBで運用してきたが、動画を扱うことも増えた。ストレージは空き容量が全体の20%になったら整理必須と考えて扱っているが、残り200GBに近づくことも増えてきている。

またこれは最近のmacOSの特性でもあるが、外付けストレージの扱いが微妙に面倒だ。特に、ノート型であってひんぱんに外付けストレージを取り外す場合にはそうだ。だから、次に買うなら2TBかな……とは思っていた。

キーボードは長年日本語キーボード派だったが、昨今外付けキーボードで英語キーボードにも触れ、「こっちでもいい」と判断できるようになった。なので、メインの用途で設定切り替えをしなくていいよう、今回から「英語キーを基本に」する形にポリシーを変えた。

下取り前提で買い替えコストを下げる

結果、本体価格は45万円を超える。2021年の円ドル水準だったら、30万円台半ばで収まっていたはずなのだが。

もちろんこれをそのまま払うのはだいぶキツい。そこで2つのことを考えた。というか、それができる前提だったから買うことにしたのだが。

それは「古いiPhoneとM1 Pro版MacBook Proの下取り」だ。

去年までは下取りは考えずテスト機としてそのまま手元に残していたのだが、2年前・3年前のモデルを残す意味はそろそろ薄い。Macのテスト機としても、M1版がそのまま残っている。M1版はライフサイクルが続く限り、故障時の予備機およびパフォーマンステスト機とするには良い存在だ。

というわけで、「iPhone 12 Pro Max」と「iPhone 13 Pro Max」を、アップル経由で下取りに出していた。両方満額査定で15万円強のApple Storeクレジットが返ってきている。「次回の買い物で使おう」と考えていたわけだが、まさに「今でしょ」というところではある。

ちなみに、次のアップルでの大きな買い物としては「Vision Pro」が控えているのだが、こちらは発売と同時にアメリカで買うつもりなので、ストアクレジットは使えない。日本で下取りして返ってきたストアクレジットは、日本のストアでしか使えないからだ。

M1 Pro版MacBook Proも同じくアップルに下取りに出すが、予定では12万円弱になる。今はまだ手元にあるが、リカバリーしたのちに返送、その分の額が返金される形になっている。

というわけで、実質19万円弱で買い替えられた。これをまた2年もしくは3年後に下取りに出し、次のMacへと買い替えることになるだろう。

CPU以上にGPUが高速化

といったところで実機の話だ。

正直、デザインは同じ(あえて新色のスペースブラックではなくシルバー。Macはシルバーがよく似合う)ものなので、使い勝手は変わらない。英語キーになったことも特に問題はない。

▲上が新型で下が2021年モデル。よく見ると細かな傷などが違うが、ぶっちゃけすぐには見分けられない

▲キーボードはなんとなく英語キーにしたが、やっぱり「かな」がない分デザインはスッキリしている

ThunderboltケーブルでM1 Pro版と直結、「移行ツール」を使って転送したら、2時間もかからずに移行作業は終わった。設定などもほぼ同じ状態のままなので、拍子抜けするくらい「以前のまま」だ。多少速くなった気はするが、そもそもウェブを見たり文章を書いたりするくらいでは大きな差が出るはずもない。

ベンチマークで高負荷をかけている時はともかく、一般的な状態での発熱量も気にならない。アップルはM3でも基本的な開発方針を変えてはいないようだ。

ベンチマークの結果は以下のとおりだ。せっかくなので、レビューでのテスト結果もまとめてある。イエローで囲ってあるのがM1 Pro版MacBook Proで、レッドがM3 Pro版MacBook Proだ。

▲GeekBench 6でのCPUテスト

▲Cinebench 2024でのCPUテスト

▲GeekBench 6でのGPUテスト

▲Cinebench 2024でのGPUテスト

さすがに速い。正直、M3 Maxとの差はもう少し出るかと思ったし、M1 Proとの差も意外と小さい(すなわち、伸び代がイマイチ)かと思ったがそうでもなかった。

CPUは3割くらいの性能アップだが、GPUは実テストに近いCinebench 2024の結果で3倍近くまで高速化している。

Lightroomで「AIノイズ低減」にかかる時間も、画像1枚の処理にかかる時間が約33秒から約23秒に短縮。M1と比較すると3分の2で済む計算になる。

▲Lightroomで1枚のRAW画像に「AIノイズ低減」を行った際にかかる処理時間をテスト

M3 Maxはさらにその倍くらい速いわけだが、コスパを考えるとこのくらいが妥当なところだな、という印象だ。予想通りの結果ではあるのだが、やはりGPU高速化が大きい。ゲームやグラフィックスに関わる処理をほぼしない人にとってはM3で十分、というかM3でも相当に快適だろうと思われるが、アップルは「Pro以上ではGPUでの価値拡大が重要」と想定しているのだろう。それはよくわかる。

というわけで、筆者はこれから2、3年M3 Proのマシンを使い続けることになる。その間、パフォーマンスや発熱で困ることにならないといいなあ、とも思っている。

《西田宗千佳》

西田宗千佳

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