アップルは同社初の「空間コンピュータ」ことAppel Vision Proを2月2日に米国内で発売します。
価格は3499ドル、日本円では約50万円もするため、誰もが気軽に購入する製品ではありません。しかし初期の生産台数が10万台にも満たない数のため、開発者やコアなAppleファンだけで早期に売り切れる可能性があると著名アナリストが主張しています。
アップルのサプライチェーン情報に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏はX(旧Twitter)にて、同社がVision Proの製品的な位置づけや主な使い道を明確に定義しておらず、価格も決して安くないと指摘。
しかし、「画期的な技術革新が生み出すユーザー体験(念じただけでユーザーインターフェースを制御できるような錯覚を与えるなど)」と「コアなファンやヘビーユーザー層」があるため、発売後すぐに売り切れるだろうと述べています。
つまり、他のデバイスでは体験できない唯一無二の魅力があり、発売直後に50万円を支払うアーリーアダプタは多くないものの一定数はいる上に、出荷台数もわずかのため、瞬殺になるということでしょう。
ちなみにアップルは、開発者向けにVision Pro用アプリをApp Storeに提出する手引きを発表 。そのなかで、アプリを「空間コンピューティング」と呼ぶよう、アプリ体験をAR、VR、XR、MRと表現しないよう警告。やはり、他社のMixed Reality製品とは違う革新的なユーザー体験であるとアピールすることに重きを置いているようです。
昨年、英Financial Timesなどのメディアは、2024年におけるVision Proの出荷台数は40万台に留まると報道。そのためアップルも当初は販路を絞り、2025年までは非直営店での販売は想定していないようだと著名ジャーナリストが述べていました。
それは2枚の4KマイクロOLEDディスプレイの製造元がソニー1社だけで、同社の製造能力が年間90万枚に限られている事情がある(1四半期あたり10万~20万)と韓国メディアThe Elecが伝えたこともあります。アップルはソニーに製造能力を増やすよう要請したものの、ソニーは拒否したとの噂を伝えていました。
そうした制約から逃れようと、アップルはVision Pro後継モデルにつきマイクロOLEDパネルの供給元を中国メーカーに切り替えることを検討しているとの報道もあり。具体的にはBOEとSeeYaという大手サプライヤーの名前が挙がっています。
その第2世代モデルは2027年発売の可能性が高いと、調査会社Omdiaは予想しています。
これらの情報が正しければ、初代モデルはディスプレイ供給の制約は解消されにくく、生産台数を増やすことは難しそうです。日本での発売時期は未発表ですが、やはり国内でも品薄で、争奪戦になるのかもしれません。