日本時間9月7日にH-IIAロケットで打ち上げられ、クリスマス明けに月周回軌道に到着したJAXAの小型月着陸実証機「SLIM」は、1月19日の24時に月面の「神酒の海」にある「SHIOLI」と呼ばれるクレーターに到着する予定です。
SLIMは1月10日に着陸降下準備フェーズへ移行、14日には約600kmにまで高度を下げています。15日のJAXAの発表によると、SLIMは19日にこの高度を15km(近月点)まで低下させ、19日24時(20日午前0時)頃に着陸降下を開始する予定です。
SLIMは、これまでの月面着陸の常識だった「降りやすいところに降りる」探査から、ピンポイントで「降りたいところに降りる」探査へと時代を切り開く、高精度着陸技術を実証することを目標としています。
そのため、すべてがうまくいけば、SLIMはSHIOLIクレーターの目標地点から100m以内に着陸することになるはずです。そして、着陸が成功すれば、日本はソビエト連邦、米国、中国、 インドからなる月面軟着陸成功国の仲間入りを果たすことになります。
ちなみに、日本の探査機が月面着陸を目指すのは今回が初めてではありません、 2022年にはJAXAの重さ12.6kg、6UサイズのCubeSat「OMOTENASHI」が、また2023年春には民間企業iSpaceの「HAKUTO Mission 1」が、月の大地を目指しましたが、いずれも失敗に終わっています。
米国の民間企業Astroboticが月へと送った月着陸機「Peregrine」も、打ち上げ後の軌道上で推進剤漏れが発生して月着陸を断念しました。アポロ計画から半世紀近くが経過したいまも、やはり月面着陸の難しさは変わっていないようです。
SLIMが月面に降り立ち、日本が「月面着陸クラブ」の仲間入りを果たすのかどうか、19日の夜はライブ配信で見守りたいところです。