バルミューダ、焼きたて揚げたてを再現する『リベイク』特化トースター「ReBaker」発表。試食&サーマルカメラ撮影リポート

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安蔵靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト 一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。デジタル家電や生活家電に関連する記事執筆のほか、家電スペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。

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2010年の発売からロングセラーの扇風機「GreenFan」や、2015年発売から累計販売台数200万台を突破したトースター「BALMUDA The Toaster」など、人気の家電を数多く市場に送り出してきたバルミューダが、新コンセプトのトースター「ReBaker」を発表しました。

バルミューダが2024年2月20日に発売する「ReBaker」(直販価格2万4200円)
ブラックとホワイトの2色をラインアップします

バルミューダのトースターというと、約5mlの水を使ったスチームとヒーターを組み合わせてトーストを焼き上げるので有名ですが、ReBakerは水を使わずに総菜パンなどを“リベイク”することを前面に押し出した製品となっています。

リベイクモードを紹介するバルミューダ代表取締役社長の寺尾玄氏

リベイクとはパンをまるで焼きたてのように温め直すことを表しており、バルミューダ代表取締役社長の寺尾玄氏は発表会で「リベイクという言葉は、私が言い出す前に誰かから聞いたことはない」と語っていました。

総菜パンなどに向く「リベイク」と揚げ物向けの「フライド」モードを搭載

ReBakerはBALMUDA The Toasterと同様に「トースト」モードと「チーズトースト」モードを搭載しており、新コンセプトの「リベイク」モードと「フライド」モード、庫内を約240℃に保つ「オーブン」モードを搭載しています。

トーストとチーズトーストモードに加えて、リベイク、フライド、オーブンモードを搭載しています
モードを選んでタイマーを設定する操作スタイルです

BALMUDA The Toasterには焦げ目を付けずにパンの中を温める「フランスパン」モードと、中まで温めた後に表面をサクッとしあげる「クロワッサン」モードを搭載していますが、リベイクモードはその中間くらいとのことです。

「自分で開発したThe Toasterのクロワッサンモードもしくはフランスパンモードで『まるごとソーセージ』を温めると、外はサクサク、中は熱々でふわふわという、最高の最良の状態にできました。しかしこの2つのモードはそれぞれ仕上がりが少しずつ違っていて、その中間ぐらいがちょうどいい。私のわがままもあって、このリベイク自体がとても大きな価値になるんではないかなと考えて作ったのが『ReBaker』です」(寺尾社長)

「一般的なトースターだと上が焦げてソーセージが温まらない」と寺尾社長は語りました
リベイクモードのレシピ

もう一つ注目したいのがフライドモードです。

「二度揚げにならないようにゆっくりと火入れをしていき、中身を温めると同時に表面の水分を飛ばします。それを行うことで表面はサックリ、中は熱々で、揚げたてのような油の香りがするまで戻すというのがフライドモードです」(寺尾社長)

フライドモードと電子レンジで温め直した場合の違い。「電子レンジだと中がとても熱くなるのに対し、表面はそれほど熱くなっていないという状態に陥りがちです。それに対してReBakerでは絶対に二度揚げにならない温度帯でゆっくりと火入れをしていきます」と寺尾社長は語りました

トーストモードの場合はでん粉がα化する60℃前後、表面がきつね色に色付き始める160℃前後、焦げつき(炭化)が始まる220℃前後の温度帯を目指して上下のヒーターを制御していますが、リベイクモードとフライドモードはそれぞれどのような温度制御を行っているのかは明かされませんでした。

ただ、発表会後に試食会が行われて、2つのモードで温め直した総菜パンや揚げ物が振る舞われました。その仕上がりはどうだったのか、サーマルカメラの写真とともに紹介したいと思います。

リベイクモードは中を50℃前後までしっかり温めました

リベイクモードでは、山崎製パンの「まるごとソーセージ」と木村屋總本店の「酒種 桜」、No.4の「明太フランス」が試食として提供されました。

まるごとソーセージは表面が約124℃に温まっており、断面を見ると中のソーセージが約45℃まで温まっていました。表面が焦げるようなこともなくサックリとしていて、辛子入りドレッシングがホカホカに温まっていて、なかなかおいしく仕上がっていました。

まるごとソーセージが焼き上がったところ
まるごとソーセージの断面
サーマルカメラで撮影すると、ソーセージが約45℃まで温まっていました

あんパンも同様に、あんの部分が約55℃までしっかりと温まっていました。焼きたてのあんパンをイートインで食べているような感じで、温めた方がおいしく感じます。

あんパンが焼き上がったところ
試食として提供されたあんパン
あんの部分が約55℃まで温まっていました

明太フランスも中心の明太子が約45℃まで温まりました。外はカリカリで中はふんわりとしていておいしく味わえました。

No.4の「明太フランス」
試食として提供された明太フランス
中心の明太子が約45℃まで温まっていました

フライドモードで海老天を温めれば、“年越し体験”が変わる……!?

フライドモードでは、コロッケ、鶏の唐揚げ、海老天、フライドポテトを試食しました。コロッケも鶏の唐揚げも、中までしっかりと温まっておいしく味わえました。

試食として提供されたコロッケ
中心部が約50℃まで上がっていました
試食として提供された鶏の唐揚げ
こちらも中までしっかりと温まっています

発表会で寺尾社長が特にアピールしていたのが海老天とフライドポテトです。

「皆さん、天ぷらを年越しで食べるじゃないですか。年越し体験が変わりますよ。私は去年、(ReBakerで)とてもいい年越し体験ができました」(寺尾社長)

フライドポテトについても「家でおいしく食べることは相当難しいと思います」と寺尾社長は語りました。

「ReBakerでもやり込みましたが、すごく難しかったです。でも、できました。私が言ったことが本当かどうかを確かめていただきたいと思います」(寺尾社長)

試食として提供された海老天
中心部分が約65℃まで温まっていました
試食として提供されたフライドポテト
こちらも約60℃まで温まっていました

海老天は衣がサクッとしており、中の海老も柔らかくておいしく仕上がっていました。フライドポテトは特に細めのものほどカリカリになりがちで温め直すのが難しい印象ですが、クリスピーな食感に戻しつつもカリカリになりすぎないように仕上がっていました。

バルミューダ“復活”へののろしになるか……!?

2021年に携帯電話事業に参入し、2023年に大幅な赤字を抱えて撤退したバルミューダですが、今回は事業の立て直しを含めて“原点”に立ち返った製品として自信を持って投入した製品のようです。

トーストモードとチーズトーストモードのThe Toasterとの違いは確認できなかったものの、リベイクモードとフライドモードは確かな実力があることを確認できました。

その場で同時に比較したわけではないので断言はできませんが、リベイクモードとフライドモードに近い仕上がりになるトースターがないわけではありません。

例えばシャープの「ヘルシオ グリエ」の「中」モードで温めると、過熱水蒸気の力で焦げ付かせずに中までしっかり温めつつ、外はカリッとサクッと仕上がるような焼き上がりになります。

しかし、バルミューダがこれまで培ってきた「バルミューダのトースターでパンを焼くとおいしいらしい」というイメージは一般消費者にもかなり浸透しており、リベイクモードとフライドモードはそのイメージを裏切らない確かな実力がありました。

The Toasterともヘルシオ グリエとも違い、水を使わずにおいしく仕上がるというのも楽なポイントですし、The Toaster(直販価格2万9700円)に比べて安いというのも訴求ポイントになりそうです。

寺尾社長は発表会で何度か「原点に立ち返る」と語っていましたが、調理家電の原点であるThe Toasterを見直して違う方向に進化させたReBakerにはヒットの予感がします。

ReBakerの特徴 | ReBaker | バルミューダ




《安蔵靖志》
安蔵靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト 一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。デジタル家電や生活家電に関連する記事執筆のほか、家電スペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。

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