2月21日、米食品医薬品局(FDA)は消費者、患者、医療専門家に対し「単独で血糖値を測定または推定することを目的としたスマートウォッチやスマートリングを認可・許可・承認したことはない」とする、安全に関する警告を発表しました。
毎日自分に針を刺し、血糖値を測定している糖尿病患者にとっては、非侵襲的な血糖モニタリング機能を備える機器は喉から手が出るほど欲しいものかもしれません。
しかし現在のところ、非侵襲的に血糖値を測定できるスマートウォッチやスマートリングなどの機器はまだ実用化されていません。
アップルやFitbit、サムスン、Ouraなどが販売しているスマートデバイスは、いずれもFDAが認可したDexcom G7のような持続血糖モニター(CGM)と連携する機能を持ってはいます。
しかしCGMも、皮膚に針を刺して血糖値を測定する機器で、針を刺さない非侵襲的な仕組みではありません。
Appleやサムスンは、以前より非侵襲的な血糖値測定機能の開発に取り組んできたと伝えられています。
昨年には、アップルが非侵襲的かつ継続的な血糖値モニタリングシステムの開発において大きな進歩を果たしたとBloombergが報じましたが、「いまだ概念実証の段階」で、「上腕二頭筋にストラップで固定するiPhoneサイズのプロトタイプの開発に取り組んでいる」との内容でした。
今回のFDAの警告は、いまの時点では、市販品はおろか医療現場においても、非侵襲的かつ継続的に血糖値をモニタリングできる認可済み機器はないこと、誤った計測値を目安にすることの危険性を改めて周知する内容です。
FDAは疑わしいデバイスは「数十の企業によって製造され、複数のブランド名で販売」されていると述べており、もしも血糖測定の値が不正確だと思われるデバイスや未承認のスマートウォッチ、またはスマートリングの使用により、有害事象が発生したと思われる場合は、自主報告用のフォームから問題を報告するよう推奨しています。
ちなみに、以上は米国での話ですが、日本国内でも昨年暮れあたりから先月あたりにかけてSNSやウェブサイトの広告でこの問題によく似たデバイスを見かけた人はいるのではないでしょうか。
先月、日本のメーカーであるオムロンは「オムロンブランドをかたり当社と関係のない製品(血糖値が測定できるとされる腕時計型のウエアラブルデバイス)を販売するサイトの存在および動画配信サイトやSNSでの広告が確認されています」として、消費者に注意するよう呼びかけました。
オムロンは「当社のブランド名や情報が無断で引用、公開されていますが、販売されている腕時計型のウエアラブルデバイスは、当社とは一切関係がございません」と注意喚起の文に記しています。