2022年にイーロン・マスク氏が買収するまでTwitter(現:X)のCEOを務めていたパラグ・アグラワル氏および元幹部らが、退職金1億2800万ドルが未払いであるとして、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に新たな訴訟を起こしました。
訴状においてアグラワル氏らは、マスク氏がそれまでのらりくらりとかわし続けていた440億ドルのTwitter買収取り引きに応じると述べた後、「明確な契約上の約束の遵守を繰り返し許否」することで、元Twitter幹部らへ個人的に復讐したと主張しています。訴状は、マスク氏が自身の公式伝記の作家であるウォルター・アイザックソン氏に「Twitter幹部や取締役を『死ぬまで』一人残らず追い詰めてやる」と述べたことにも言及しています。
そしてマスク氏が約2億ドルを節約するため、ストックオプションの最終的な権利確定の1日前に元幹部らを正当な理由で解雇できるよう工作し、Twitter幹部らの退職金をだまし取る計画をアイザックソン氏に自慢したとする、伝記に記されたエピソードに触れ「これらの発言は(なんでも言うことを聞く)イネーブラーに囲まれた、わがままな億万長者による戯れ言ではない 」としています。
訴状はほかにも、マスク氏がTwitterを買収して以来、元幹部らだけでなく「従業員や入居テナントの家主、ベンダーらにも圧力をかけてきた」と、家主やベンダーらがXに対して起こしている計25件以上の不払い訴訟を例に挙げました。さらに「マスクは自分にはルールは適用されないと信じており、請求書の支払いを拒み、自身の富と権力を笠に着て従わない者には乱暴な行為をはたらいている」としました。
なお、アグラワル氏ら元幹部たちからの訴訟に対し、Xはコメントを出していません。
Twitterの元従業員が、様変わりした古巣に対して起こしている訴訟はこれだけではありません。今回の訴訟の他には、マスク氏の買収後に解雇された元Twitter従業員らから少なくとも5億ドルの退職金を支払う義務があるとする集団訴訟が2件提起されています。そして、そのうち1件は先日、和解交渉が物別れに終わっていました。また、元上級管理職6人による同様の主張による3件目の訴訟も提起されています。Xは、これらの訴訟において不正行為を否認しています。