Epic Gamesは、アップルがEpicの欧州でのアプリ開発者アカウントを停止したとブログ記事で明らかにしました。
Epicのティム・スウィーニーCEOは、この対応はアップルがEpicによる独占禁止法に関するロビー活動や、Appleに対する訴訟、そしてスウィーニー氏本人のソーシャルメディアへの投稿に対する報復だと主張しています。
Epicのブログ記事で公開された、3月2日付けのEpic宛ての書簡で、アップルはEpic Games Swedenの開発者アカウントを終了したと通知し、この開発者プログラムライセンスは「Appleの独自の裁量」で終了できるとする「契約上の権利」があると述べています。
今回のアップルとEpicの間のやりとりは、EU圏内における新しいデジタル市場法(DMA)の規制に準拠するための変更内容を明らかにしたことを受けての一連の動きです。Epicは1月に、DMAによって可能になった独自のiOSアプリストアを立ち上げることと、2020年にアップルに削除されて以来となる開発者アカウントをEpic Games Swedenで取得したことを発表していました。
スウィーニー氏がブログで公開した、アップルのフィル・シラー氏からスウィーニー氏に宛てた2月23日付けのメールでは、シラー氏はEpic Gamesが2020年にiOS版『Fortnite』で独自決済の仕組みを追加してアップルとの合意を破り、App Storeから削除された事実について懸念を示しています。
また、スウィーニー氏がアップルのDMAコンプライアンス計画を「酷く臭うゴミ」「ホラー映画のよう」だと評し、「悪意のあるコンプライアンスの狡猾な新しいインスタンス」だと公に批判したことなどを挙げ、それらが契約の規定に意図的に違反するEpicの過去の慣行と相まって、Epic Games Swedenがアップルの規則に従うつもりがないことを強く示唆していると指摘しました。
シラー氏は、このような過去の行動や発言の数々を踏まえ、Epic Games Swedenの登録の許可を求めるのであれば「わかりやすく、文句のつけようがない言葉でEpicを信頼すべき理由を教えて欲しい」とメールの最後に述べていました。
スウィーニー氏はこれに対し、すぐに「Epicとその子会社は誠実に行動しており、Appleとの現在および将来の契約条件をすべて遵守します。ご希望ならば、アップルにさらなる具体的な保証を喜んで提供します」と連絡を返していました。しかし、それだけでは信頼回復には足りなかったようで、アップルは弁護士を通じてEpicの弁護士に送った書簡で、スウィーニー氏の「Appleに対する数々の公での攻撃」とソーシャルメディアへの投稿を理由に、Epic Games Sweedenのアカウントを停止する旨を連絡するに至っりました。
アップルによる開発者アカウントの停止は、EU圏内で独自のiOSアプリストアを立ち上げるというEpicの計画を阻むものではありますが、The Vergeなどははスウィーニー氏がブリーフィングにおいて「EU圏内で他社が立ち上げたアプリストアを通じて、同社の看板ゲームである『Fortnite』をiOSデバイスに再び提供できる可能性はある」と述べたと伝えています。
Appleが今後、Epic Gamesに対してさらなる制裁措置を講じるのかはまだわかりませんが、少なくとも両社の間の溝が、まだまだ深いことは明らかです。