メルセデス・ベンツは、Apptronik製のヒューマノイドロボット「Apollo」を自動車工場の生産ラインに試験採用しました。
わざわざ専用ラインを設計・導入するまでもない、単純な内容の反復作業について、人間の従業員と置き換えられるかをテストしています。
Apptronikの協働創業者兼CEO、ジェフ・カーデナス氏はプレスリリースで「われわれがApolloの製造に着手したとき、メルセデス・ベンツと今日発表するような契約は夢のようなシナリオだった」と述べました。
「メルセデスは低スキルで肉体的に負担の大きな手作業を自動化するため、ロボティクスとApolloを活用します」と今回の契約を説明しています。
発表では、具体的にメルセデスのどこの工場に何体のApolloを導入したのかといったことは明らかにしていません。
ただ、Financial Timesはメルセデスがハンガリーの工場でこのロボットの試験運用を開始したと伝えています。
余談ですが、ハンガリーなどEUにおけるかつての東欧諸国では長年の西側への移民で労働力不足が生じており、メルセデスも2016年、ハンガリーの工場における労働者の確保に懸念を示していました。
メルセデスの生産・品質・サプライチェーン管理担当幹部、ヨルグ・ブルツァー氏は「われわれはロボット工学と自動車製造の可能性を理解し、低スキルで反復的、かつ肉体的に厳しい作業などの分野における労働力のギャップを埋め、世界で最も魅力的なクルマを製造するために、非常に熟練したチームメンバーをラインから解放したいと考えている」とコメントしました。
Apptronikは昨年8月にヒューマノイドロボットのApolloを発表しました。体格は約172cm、約72.6kg。
最大25kgまでの物を持ち上げることができ、4時間連続で作業できるとApptronikは説明しています。
作業時間が短いためフルタイムでの勤務は難しいかもしれませんが、電池切れが近づけば、自ら電源をオフにする機能があり、バッテリーを交換して作業を継続させることも可能です。
Apolloとよく似たヒューマノイドとしてはFigureの「01」、Agility Roboticsの「Digit」などが知られています。
前者はBMWが、今回のメルセデスと同様に工場のラインでの試用を開始しており、後者は米Amazonが物流センターでの運用を試しています。テスラも自社でOptimusと称するヒューマノイドを開発中です。
Apolloはライバルのロボットたちに比べると愛嬌のある顔立ちで、先輩社員たちに溶け込み安そうに思えます。少なくとも、慣れない職場で5月病になるようなことはないはずです。