アップルは、「今年iPhoneソフトウェアに搭載されるいくつかの新機能を強化」する目的のため、GoogleとGemini AIの使用に関する協議に入っている模様です。
アップルは生成AI市場においてはこれまで大きな動きを見せておらず、Googleやマイクロソフトといったライバルに対し遅れを取っていると言える状況です。しかし、iPhoneなどアップル製品のデフォルト検索エンジンとして採用されているGoogle検索を進化させる格好で、これらのデバイスにGoogle Geminiを導入すると考えれば、今回の協議入りはしっくりくるものであります。
もしこの協力が実現すれば、Google GeminiはSiriを代替したり、その他のアプリのためのクラウドベース生成AIエンジンとして使えるようになると考えられます。
アップルのティム・クックCEOは2月の決算報告の際、年内には「膨大な時間と労力を費やし続けている人工知能」に関する「取り組みの詳細をお伝えできることを楽しみにしている」と述べていました。
アップルには、今年発表される予定のiOS 18で独自の生成AIを搭載するといううわさがあります。しかし一方では、アップル独自の生成AIの完成にはまだ数年かかるとの見方もあります。いずれにせよアップルは年内に実装できる何らかの生成AIソリューションを必要としていると考えられ、BloombergはGoogleとの協力が、選択肢としてもっとも理にかなったものであると述べています。なお、アップル独自のAIはiOSに組み込まれ、クラウドに頼らずオンデバイスで動作するものになると言われています。
Googleは、毎年数十億ドルをデバイスメーカーやウェブブラウザー開発者に支払って、検索エンジン市場における支配的立場を形成、他社の参入を阻んでいるとされ、2020年には米司法省から裁判を起こされています。またGoogle Geminiは先月、ナチスドイツ兵や米国建国の父たちを有色人種として描き出すなど、歴史的なテーマにおいて過剰に多様性を適用し不正確な画像を生成することが判明し、批判的に伝えられたのもまだ記憶に新しいところです。
とはいえ、マイクロソフトがOpenAIとの提携により、あらゆるCopilot AIにOpenAIの技術を取り入れて強化しつつあることを考えると、アップルがGoogleとAIで協力することは、両社にとって有益なものになると考えられます。さらに、アップルは独自のAIモデルの開発を進めるための時間的余裕も作ることができるかもしれません。
ちなみにBloombergは、アップルがOpenAIともAIモデルの使用を協議しており、さらにAnthropicといったその他のAI企業を採用する可能性もあると述べています。もし、Googleとの協議が物別れになった場合は、アップルはこれらの企業との協力に動く可能性がある考えられます。