アップルの空間コンピュータApple Vision Proは今年2月に米国で発売されました。
その他の国や地域での発売は「2024年内」と述べたに留まり、具体的な日程は明らかにしていません。
その理由は、Vision Proに必要なパーツの供給が限られ、また完成品を組み立てる工程が複雑なために生産台数が少なく、米国以外の地域で販売する余裕がないためと見られてきました。
価格は3499ドル、日本円で約50万円もする高価な製品ですが、それでも熱心なアーリーアダプタの需要を満たせるほどには供給が難しいとの予測に基づく判断です。
しかし、その米国市場でのVision Pro需要が予想以上に減速しているため、アップルは2024年内の出荷台数を大幅に減らしたと著名アナリストが述べています。
アップルのサプライチェーン情報に詳しいMing-Chi Kuo氏のブログ記事によれば、同社は2024年内のVision Pro出荷台数を40~45万台に減らしたとのこと。
市場コンセンサス(マーケット関係者の平均的な見解)とされる70~80万台以上から実に30~35万台、半分近く切り下げられたというわけです。
アップルは表向きは何のコメントも出していませんが、日本や中国、オーストラリアでVision Proの発売準備を始めている兆しは、公式サイトに登場した求人情報(削除済み)でも確認されています。
が、今回の記事では「米国市場での需要が予想以上に激減したため、アップルは米国以外の市場での需要を保守的に見るようになった」と分析しています。
要は攻めの姿勢よりも、守りの姿勢を取るようになったということでしょう。
以前Kuo氏は、アップルが6月のWWDC前に、Vision Proを米国市場以外で発売する可能性は高いと予想していました。
その理由の1つとして「Vision Proの初期供給量が限られていること」を挙げていましたが、品薄というネックは解消されたどころか、予定通りに生産を続けると在庫がダブつく恐れが生じたのかもしれません。
今回の記事に戻ると、Vision Proの需要落ち込みは、アップルによる「HMDの製品ロードマップを見直し・調整」にも繋がり、「2025年にはVision Proの新型モデルが登場しない可能性がある」とのこと。
そうした最新の見解は、Kuo氏本人のほか台湾サプライチェーン情報筋も伝えていた「2025年後半に廉価モデルが発売」という予想の軌道修正ともなります。
繰り返しますが、アップルは正式にVision Proの出荷台数予測を公表したことはなく、クオ氏がいう「市場コンセンサス」とは違う予測も当然あります。
ともあれ、今回の情報が正しければ「米国内でのVision Proの需要が落ち着き、在庫に余裕が生じた」ということで、日本での発売に一歩近づいた可能性もありそうです。