アップルは4月にApp Storeの審査基準を変更し、名指しでレトロゲーム機エミュレータを解禁。それ以降、任天堂ゲーム機用ソフトが動く「Delta」など、さまざまなエミュレータアプリが人気を集めています。
そんななか、長年の歴史あるマルチプラットフォームエミュレータ「RetroArch」が、App Storeで配信を開始しました。Deltaと異なり、最初からiPhone版とiPad版を用意しています。
完全無料で、インターフェースは日本語にも対応済み。ユーザーデータを一切収集しないとも保証しています。
このRetroArch自体は、厳密にはエミュレータではありません。様々なゲーム機別エミュレータコアを統合して、1つのインターフェースで利用できるフロントエンドです。つまり、コアの数だけ対応するゲームハードが広がります。
今回App Storeで公開したバージョンは、すでに数え切れないほどのレトロハードに対応。 Atari 2600やインテレビジョンといった太古のものから、PCエンジン、セガサターン、ニンテンドーDS、バーチャルボーイ、ネオジオポケットにPSPもあり。
レトロPCも充実していて、MSXやX68000まで網羅しています。
そのため、プレイの前にはまず各ゲーム機のコアをロードする必要あり。ただし、非対応のゲームデータを読み込もうとすると、適切なコアを提案してくれます。
また、過去のゲームを今風に遊びやすくする補助オプションも充実。ざっと次のような機能を利用できます。
ネットプレイ
ステートセーブ(途中セーブ)
MFiコントローラー対応
コア毎またはゲーム毎のキーマッピング
ジャイロ操作
チートコード対応
早送り、巻き戻し
ゲームのアートワーク
AI翻訳
高度な遅延管理
iOS/iPadOS 14.2以降や tvOS 11.0以降、さらにはVision Proにも対応。Mac版はApp Storeから入手できませんが、RetroArch公式サイト から直接ダウンロードできます。
こうしたレトロゲーム機やPCのエミュレータはPCやAndroidなどでは古くからあり、オープンソースで有志が協力して開発するもの、散逸する過去のゲームをデジタル動態保存することを目指すプロジェクトなど多種多様なものが存在します。
アップル、App Storeでレトロゲーム機エミュレータを解禁。ゲームの追加ダウンロードも可、合法に限る | テクノエッジ TechnoEdge
エミュレータ自体は、元となるハードウェアの動作や構成を解析することで、元のゲーム会社等の知財権を侵害することなく開発でき、合法的に流通も可能です。(暗号化や、著作権で保護されたオリジナルのファームウェアが必要なもの等は、その部分については自由に流通できるとは限りません)。
RetroArchは歴史も古く、Windows / Mac / Linux / Android等々をサポートしており、Steamなど各種のアプリ配信プラットフォームで従来から配信されてきました。
一方で、エミュレータで動かすソフトウェア、いわゆるROMデータについては、音楽や映画、他のソフトウェアと同じく、著作権者が認めていない場合、また著作権法に定められた例外を除き、複製して配布したり、違法と知りながらダウンロードする等の行為は、権利侵害として罪に問われる可能性があります。
権利者がオープンに配布しているゲームや、合法的に入手できデータ化できるゲームなど、権利的に問題がないROMを遊ぶことが前提です。