ドコモがdポイントクラブの還元率と条件改定を予告。改悪になるユーザー多数、改善になる使いかたと対策を考える (石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

ドコモはdポイントクラブのポイント還元の仕組みを10月に改定します。改定というとフラットには聞こえるものの、一部のユーザーにとっては“改悪”になる内容です。

逆に、dカードホルダーがd払いを組み合わせれば“改善”になるだけに、dポイントを貯めているユーザーは今のうちにその仕組みを理解し、対策を考えておいた方がよさそうです。

(▲画像:dポイントクラブの仕組みが、10月に改定される。主な変更点は、この図のとおり)

 変更点をざっくり言うと、共通ポイントとしては改悪になります。

dポイントクラブは現在、ランク制を採用しており、3カ月間で貯めたポイントに応じてポイント付与率が1.5倍から2.5倍まで上がります。「プラス〇%」ではなく「〇倍」というのがミソで、元々還元率が高い加盟店の場合、ポイントがドサッとつくことになります。

(▲画像:注目は表の左側にまとまっている倍率変更。「3つ星」から「5つ星」までの倍率が軒並み下がってしまう)

 例えば、自社ポイントで10%還元の商品を多く取り揃えているビックカメラの場合、他社ポイントは半分の5%になってしまう一方で、dポイントの最高ランクである「5つ星」になっていれば、ポイント還元率が2.5倍の12.5%に上がり、ビックポイントを上回っていました

ビックポイントを貯めるより高還元で、かつ、共通ポイントとして幅広い加盟店で利用できるため、貯めるモチベーションも高まる魅力的な施策と言えるでしょう。

 dポイントが比較的「貯まりやすい」と評判なのは、そのためです。

一方で、10月の改定では、中間ランクの「3つ星」以上の倍率が一律で引き下げられます。「3つ星」と「4つ星」は2倍から1.5倍に、上記で挙げた「5つ星」も2.5倍から2倍に低下してしまいます。0.5%還元の加盟店ではその差はわずかな一方で、高還元率の加盟店での引き下げ影響は大きくなりそうです。

(▲画像:ランクに応じて上がるのが倍率のため、画像のビックカメラのように還元率が5%と高い場合、その効果が大きくなる)

 代わりに導入されるのが「d払い特典」。「3つ星」以上の場合、d払いで支払ったときの還元率が0.1%から1%、上乗せされます

とは言え、こちらは倍率ではなく還元率の上乗せ。上記のような高還元率の加盟店ではトータルでもらえるポイントが少なくなるうえに、d払いにも支払方法に条件がつけられています。

 その条件とは、dカードを使うこと。

d払いの支払いソースには、銀行などでチャージした残高や、dカード、携帯電料金との合算、他社カードを選択できますが、d払い特典の対象になるのは、dカードと携帯電料金合算払いの2つのみ。

後者に関しても、携帯電話料金をd払いで支払っている場合のみになるため、実質的に還元率を高めるにはdカードの利用がマストということになります。

(▲画像:d払い特典が新設される。還元率を維持、もしくは高めるには、この獲得が必須になる)

 これらの変更点を踏まえたとき、もっとも影響が大きくなりそうなのはdポイントを貯めつつ、他社の決済サービスを使っていた場合です。

例えば、dポイントはdポイントで貯め、決済にはPayPayを使うといった人もいたでしょう。マイルを貯めるために、航空会社系のクレジットカードを使うという人もいるはずです。

 このケースでは、各ランクの倍率低下が直撃します。ビックカメラの例で言えば、「5つ星」の人は12.5%から10%に、「3つ星」や「4つ星」の人は10%から7.5%に還元率が落ちてしまいます。

ビックカメラの場合、自社ポイントであるビックポイントにすれば還元率が半分に落ちないため、あえてdポイントを選択する理由が薄くなってしまうというわけです。

 加盟店で多い0.5%還元の場合も、「5つ星」は1.25%から1%に。「3つ星」「4つ星」は1%から0.75%に還元率が下がります。

小数点以下の還元率変更のため、そこまで大打撃を受けるわけではないものの、これまでに比べるとポイントが貯まりにくくなるのは事実と言えるでしょう。

(▲画像:ポイント還元率は、「3つ星」以上で軒並み下がってしまう格好に)

 と、嘆いたところでランクごとの倍率が下がってしまうのは変わらないわけで、ユーザーとしては対策を講じるしかありません。

また、競合の共通ポイントで同様の制度を導入しているところはなく、倍率が下がってもなお、dポイントの方が貯まりやすいことも変わりません。ユーザー側が取れる対策としては、やはり上記のd払い特典を獲得していくしかないでしょう。

 0.5%還元の加盟店の場合、「4つ星」だと0.75%に還元率は下がる一方で、d払い特典の0.5%を加味すると1.25%になり、これまでよりも還元率は高くなります。

「5つ星」だと1%還元に0.5%還元が加わり、還元率は当初の3倍の1.5%に。還元率が高い加盟店だと話は変わってくるものの、多くの場合、「4つ星」や「5つ星」であればd払いを併用することで、倍率低下ぶんを取り戻せます。

(▲画像:還元率が0.5%のファミリーマートでのケース。「5つ星」を想定しているが、この場合、d払い特典があるぶん現状よりもポイント還元率は上がる)

 ただし、「3つ星」の場合はd払い特典を加味してもポイント還元率が0.85%にしかならず、どうやっても現行制度よりポイントが貯まりにくくなります。

この場合は、がんばって「4つ星」以上に上がるのが正解に。ここまで考えながらポイントを貯めていれば自然と上がるような気もしますが、3カ月で1500ポイントの獲得は必須になりそうです。

 とは言え、d払い特典の対象から残高払いが外れているため、1カ月に使える枠を決めてプリペイド的にd払いを使うことができません。

日々の支払いのほとんどがdカードに乗ってきてしまうのは、予算管理が面倒……と考える向きもあるはず。その意味では、より上級者向けになるような印象もあります。

これが吉と出るか凶と出るかは分かりませんが、少なくともdポイントを貯めていたユーザーは決済方法も含めて見直しを考えておく必要がありそうです。

《石野純也》

石野純也

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ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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