10秒のAI動画を17秒で生成。Runway Gen-3 Alpha Turboの7倍高速化とUnlimitedプランでAI動画のワークフロー激変(CloseBox)

テクノロジー AI
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

動画生成AIの老舗、Runwayが新しいモデル「Gen-3 Alpha Turbo」を公開しました。これがすごいのです。

■7倍速いGen-3 Alpha Turbo

Turboというだけあって、売りは7倍速いという生成スピード。Gen-3では1回の指令で10秒の動画生成が可能ですが、17秒で完成します。これまでが2分近くかかっていたことから、爆速と言っていいでしょう。

Luma AIのDream Machineが登場したときには、5秒の動画を2分で生成できるというスピードを売りにしていました。Gen-3 Alphaはその2倍以上の速度なのですが、さらに7倍というスピードアップです。

従来モデルのGen-3 Alphaが97秒なのに対して、Alpha Turboは17秒。「静止画の生成ですかそれ?」というくらいの時間です。

両方の生成のスピードを、スクリーンキャプチャで体感してもらいましょう。

Image to Videoの画像を指定してプロンプトを用意して命令すると、その場で生成されていきます。Image to Videoの元静止画がたくさんあれば、それだけ多様な動画を生成できるということ。

画像生成の方もスピードアップせねば。生成AIの創世記から使っているMemeplexを多用することにしました。

Memeplexでは、DreamBoothによるファインチューニングをさまざまなAIモデルをベースに作成できます(プランによります)。

筆者の場合はBRA5をベースに人物写真45枚を使い、120分回したカスタムモデルが、いい感じの画像をたくさん生成してくれます。そこからいいものをピックアップしていきます。

今日は台風が来ているので、「台風の中にいる女性」というテーマで生成しました。

これらの画像からGen-3 Alpha Turboに投げて、どんな感じの動画ができるのか試しながら、いいのがあったらLipSyncしていきます。その前に、これをミュージックビデオにするためにSunoで作曲。

シンプルに「台風ガール」というタイトルになりました。今日はこのテーマで作っていきます。

今回は歌詞の中に特に描写とかはないので、いい動画ができたらそれをピックアップしていきます。

(▲Gen-3 Alpha TurboはGenerateして17秒で生成を終える)

今朝から作業を始めて最終的に45本の10秒動画をダウンロードしていました。実際に生成した動画の数を数えたら86本でした。860秒。14分を超えます。

その中から3分のミュージックビデオに使ったクリップは23本。

(▲今回のビデオ編集にはCapCutのブラウザ版を使用)

こんな感じのミュージックビデオができました。

Gen-3 Alpha Turboによって生成時間が短くなったからこれだけのクリップを使ったミュージックビデオを作れたということではあるのですが、これだけを生成できるのにはもう一つ要素があります。それは、料金です。

■今のペースで作っていったら月額37万5000円かかる

Runway Gen-3の10秒クリップにつきかかる料金は1ドル。23本のクリップを全て成功させたとして、それにかかる料金は、23ドル。3000円がかかったということになります。実際には90本近くを生成しているので、1万3500円かかっていることになります。

昨日も同じくらいのクリップを生成してミュージックビデオを作っているので、2日で2万5000円くらい使ったことになります。

生成する数に比例して、お金がかかっていくのです。このペースで毎日使っていたら、月額で37万5000円……。

ただし、これには解決策があります。サブスクプランをUnlimitedに変えるのです

筆者は先日までUnlimitedの一つ下のProプランに加入していました。毎月2250クレジットが使えるのですが、これではぜんぜん足りなくて、1000クレジット分を追加で購入していました。その回数は10回に及びます。

しかし、Unlimitedプランでは、上限なく生成が可能なのです。クレジットを消費する通常モードとは別に、Exploreモードというのがあり、そのモードだとスピードは保証できないけどクレジット消費なしで生成できる、と書かれてあります。

これです。月額76ドルで、動画生成AIを上限なしで使い倒せるのです。自分としては、この2日間だけで元は取れました。

「スピードが遅くなるかも」と書かれてありましたが、Gen-3 Alpha Turboで爆速になったので関係ありません。

リップシンクならsync.があるよと紹介したばかりですが、今はクレジットを全く消費しないRunway Gen-3 AlphaとAlpha Turboの組み合わせでできるだけまかない、どうしても足りないところをKLINGとViduで補うというワークフローに変わりました。

Runwayだと日本人の顔が欧米化してしまう問題が顕著ですが、それもリトライを無限にしかも高速にできるのでそれほど苦ではなくなりました。どうしてもダメなときはKLING or Vidu + sync.で良いですし。

そうなると、現時点ではLuma AI Dream Machineの居場所がなくなってきた感じがあります。栄枯盛衰がすごいスピードで回ってますね……。

追記:Gen-3 Alpha Turboを使った3作目。前回やりすぎたせいなのか、制限モードに入ってしまい、複数クリップの並行生成ができなくなって、しかもAlpha Turboでも97%までできたところで謎の「待ち」が入るように。

さらに、LipSyncモードがエラーばかり吐くようになってしまったので、今回は口パクなしです。それでも35本の10秒クリップを生成し、その中から厳選して使っています。

《松尾公也》

松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

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