任天堂は株式会社ポケモンと共同で、ゲーム『パルワールド』の開発元ポケットペア社に対する特許権侵害の訴訟を東京地裁に提起しました。
■ ポケモン「風」のパルを使役するオープンワールドサバイバル
ポケットペアが開発した『パルワールド』は、PC および Xbox で遊べるオープンワールドのサバイバル・クラフトゲーム。
ポケモンのデザイン言語をかなり意識したスタイルのクリーチャー『パル』が生息する島を舞台に、探索やサバイバルと拠点建築、さまざまな勢力との抗争を繰り広げる内容です。
ゲームの目玉である『パル』は、全体のテイストや、特定の種類については明確に対応するポケモンが想像できるデザインである一方、ゲームシステム的にはポケモンとは違い、また別の人気作品を良いとこ取りしたような内容。
パルを解体して資材にしたり食材にもできたり、銃がメインの要素であったり、ある意味でポケモンっぽいキャラクターがポケモンでは考えられない行為をする様子が予告動画の時点から話題を呼んでいました。
パルワールドは話題性だけでなくゲーム自体も、というよりゲーム自体は好評で、発売直後の時期でXbox Game Pass のサードパーティ作品として歴代最大のアクティブユーザー数を記録しています。
■ 著作権ではなく「複数の特許権侵害」
パルとポケモンのデザインテイストが似ていることは、映像公開時から話題となってきました。
しかし任天堂と株式会社ポケモン連名の発表では「この訴訟は、被告が開発・販売するゲーム「Palworld / パルワールド」が複数の特許権を侵害しているとして、侵害行為の差止及び損害賠償を求めるものです」との説明。
つまりポケモンっぽい外見ではなく、任天堂も株式会社ポケモンも大量に保有している、ゲーム関連特許への抵触を問題としています。
具体的な特許の細目と裁判所の判断はまだこれからですが、ゲームに限らず特許権侵害の訴訟は非常にテクニカルで、数年単位を必要とすることは珍しくありません。
また、著作権であれ特許権であれ、実質的に侵害していても権利者の判断でスルー、目こぼし、関知せずの態度を取ることもあれば、何らかの理由で特定の相手のみに対して訴訟を提起することもありえます。
任天堂・株ポケの発表文は「当社は、長年の努力により築き上げてきた当社の大切な知的財産を保護するために、当社のブランドを含む知的財産の侵害行為に対しては、今後も継続して必要な措置を講じていく所存です。」
任天堂株式会社 ニュースリリース :2024年9月19日 -株式会社ポケットペアに対する特許権侵害訴訟の提起について|任天堂
なお、ソニーはソニー・ミュージックとアニプレックス、ポケットペアとのジョイントベンチャーとして、パルワールドのライセンス事業を手掛ける「パルワールドエンタテインメント」を設立していました。
世界中に「パルセン(パルセンター)」や「パルストア」ができ、パルのぬいぐるみやシール付き惣菜パンや食玩を親子が競って買い集め、アニメ版パルワールドが世代も国も超えて共通言語となるような未来までには、若干の問題が発生したことになりそうです。