MetaがVR / MRヘッドセットの最新モデル Quest 3S を正式に発表しました。
事前情報のとおり、Quest 3S は既存のQuest 3よりも安い普及価格のVR / MRヘッドセット。128GBモデル4万8400円、256GBモデル6万4900円で販売します。
(Quest 3は128GB 7万4800円、512GBは旧価格9万6800円から値下げして8万1400円。)
■ Quest 2のディスプレイでQuest 3の拡張現実・処理性能
旧モデルのQuest 2、現行の上位モデルであるQuest 3との比較を簡単にいえば、新型のQuest 3S は「映像品質(視野角・解像度・光学系)はQuest 2と同じ程度に抑えつつ、現実と重ねるMR(拡張現実)機能と処理性能はQuest 3同等を実現」した製品。
具体的には1832 x 1920 画素・視野角90度・フレネルレンズで、数字としてはQuest 2そのまま。
上位モデルの Quest 3は 2064 x 2208画層・視野角水平110度 / 垂直96度なので、比較すればQuest 3のほうがより高精細で、視野が広くなっています。
またレンズが3Sはフレネルレンズ、Quest 3はパンケーキレンズ。3のほうが視野の歪みや、装着位置による変化も少なく見やすい光学系です。
(角度1度あたりのピクセルを示すPPDはQuest 3Sが20PPD、Quest 3が25PPD。PC作業用に細かい文字を読むといった用途では3のほうが(比較的)快適です)。
■ プロセッサ・RAMはQuest 3同等
Quest シリーズはMetaが力が入れるAI活用の新機能など、ソフトウェアの更新を通じて購入後も大きく進歩してゆくことが特徴です。
またQuest 3からは、カメラで捉えた外部の映像とVR映像を重ね合わせて、現実の空間に仮想の物体やキャラクターが現れるようなMR表現も大きな売りのひとつです。
こうしたソフトウェア機能にとって重要なプロセッサとRAMの量は、Quest 3Sでも上位モデルのQuest 3と同じ。Qualcomm Snapdragon XR2 Gen 2と、8GB RAMを搭載します。
つまり映像的には3に及ばなくても、アプリやアップデートで使える機能としては原則的に追従できることになります。
■ パススルーはQuest 3と同じ解像度
ヘッドセットを着けたまま外の映像が見えるパススルーの品質は、上位モデルのQuest 3と同じ。
ディスプレイ品質はQuest 3より下ですが、パススルーは外部カメラの性能や歪み補正などの処理能力に依存するため、3でも3Sでも画素数4MP・精細度は18PPD。
Quest 2にも一応パススルーはありましたがグレースケールで粗く、一時的に外部が確認できる程度で、着けたまま文字を読んだり、日常の用を足すのは難しい状態でした。
Quest 3が登場した際、ディスプレイ自体の性能向上もあり、購入したユーザーから「着けたまま生活できる!動画を見ながら家事ができる!」といった声があがりましたが、純粋にパススルーだけならば上位の3と同等にになります。
(パススルーの解像度のほうがディスプレイより下でも、処理を経た映像の精細感や、光学系の違いにより鮮やかさ、見やすさで3に及ばないことはありますが)
コントローラはQuest 3と同じTouch Plusコントローラ。そのほかヘッドバンドなど、多くのアクセサリについて3と互換性があります。
逆に後発の3Sが優れている点としては、接眼部の通気性が改善し、体を動かすゲームやエクササイズでも快適になるとされています。
Quest 3Sの発売は10月15日。
Quest 3Sを購入すると、10月22日に発売予定の新作ゲーム『バットマン:アーカム・シャドウ』がついてきます。
アーカム・シャドウは評価の高い『アーカム』シリーズの正統な最新作。開発はPS VRで高評価だったアイアンマンVRのCamouflaj と Oculus Studios が担当します。
Camouflaj はMetaに買収されているため、アイアンマンVRもQuest 向けに販売中(楽しいのでぜひ)。
このほか、選ばれた人気ゲームやアプリがサブスクで楽しめる Quest+ サービスも3か月分が付属(月1200円 x3)。
この付属ソフトとサブスクは上位のQuest 3購入でももらえるため、検討したのちやはりQuest 3にしようという場合も大丈夫です。
なおQuest 3Sの発売に伴い、Quest 2とQuest Pro は在庫限りで終売。Quest 3の最安モデル128GB 6万9300円も在庫限りになるため、高性能は欲しいけれどストレージはそんなに要らないという場合、128GB のQuest 3を慌てて探す必要があります。