玩具大手のマテルが女児向けドール製品に誤ってアダルトサイトのURLを記載して出荷し、店頭から回収と謝罪を余儀なくされるできごとがありました。
問題の商品は、米国では今月映画が公開される『ウィキッド』のコレクションドール。映画のタイアップ商品でもあり、タイトルの Wicked そのまま+ドットコムのURLを記載していました。
しかし映画の公式ウェブサイトは https://www.wickedmovie.com/ 。ドールに記載されたURLは、米国のアダルトサイトが以前から利用しているものでした。
店頭に出荷されたドールのパッケージにアダルトサイトのURLが載っていることが見つかり、SNS等で話題になったため、マテルは「ミスプリント」「不幸なエラーであり極めて遺憾」と説明し、店頭から回収の措置をとっています。
また、保護者にはリンク先が子どもには不適切なサイトであることを伝え、購入者にはパッケージの廃棄やリンクを隠すことを提案するとともに、今後の対応についてはカスタマーサポートで案内するとしています。
映画や作品のタイトルそのものを使ったドメインは一般的で、マテルの言うとおり不幸なミスではあります。しかし問題のドメイン名は映画の原作となるブロードウェイミュージカル(2003年)よりも、その原案となった小説『Wicked: The Life and Times of the Wicked Witch of the West / オズの魔女記』(1995年)よりも先に登録され使われていました。
わずか6文字で、造語でもなく日常的に使われる単語のドメインには一般に高い価値があることを思えば、先に別のビジネスが利用していないか、確認せずにパッケージをデザインしチェックをすり抜けたのはブランディング上の大きなミスでもあります。
(一応調べたところ、問題のURLは1990年代から取得されて様々な所有者を転々としたのち、2010年代の初めにはすでにアダルトサイトとなっていました。)
一般にドメイン名には維持費が必要で、過去に書かれたりハードコードされたURLを辿ると別の所有者につながるのはよくある話。
近年では行政機関や公共組織が、その正統性を保証できるドメインや仕組みがあるにもかかわらず、業者丸投げのなんとなくドメインでキャンペーンや案内を実施したうえに、維持せず第三者の不適切なページに使い回されて誘導してしまう例もあり批判が集まっています。
マテルの場合、ユニバーサル映画のドメインがどの段階で誤ったものに差し替わったのか、伝わっていなかったのかは分かりませんが、いずれにしろ買ってもいなければ持ってもいない他社のドメインをノーチェックで載せた点で論外ではあります。(誤って誘導されたほうのアダルトサイトは、話題でトラフィックが増えて追い風になっているとは思いますが)。
不幸中の幸いというべきか、映画のタイアップ商品とはいえ、問題のURLは背面のライセンス表記と並んで小さな扱い。正面に大きく載せて二次元コードで誘導したり、ギミックのためアクセスを促す等ではありませんでした。
SNSではこの回収騒ぎが話題になったことで、今度はレア商品としてまだ売っている店舗を探す動画が多くの視聴数を集める始末。
なお、ミュージカル Wickedの映画化『Wicked』は米国では11月22日に、日本国内では『ウィキッド ふたりの魔女』として2025年春に公開予定です。