Metaの写真共有SNS Instagramは、ユーザーが閲覧するコンテンツの傾向に基づくコンテンツ推奨アルゴリズムを、アカウント登録直後の状態にリセットする機能を、すべてのユーザーに提供すると発表しました。
リセットが可能になるのは「発見」「リール」「フィード」などに表示される投稿でアルゴリズムによって推奨されるコンテンツ。ユーザーはコンテンツの設定画面から「提案されたコンテンツをリセット」するメニュー項目を選択することで、各タブの表示を初期状態に戻せるようになります。
推奨アルゴリズムはInstagramに限らず、インターネット上の様々なプラットフォームが備えている機能です。誰でも、アマゾンで何かを購入すれば、類似の商品をおすすめされる頻度が増したり、YouTubeでネコがじゃれ合う動画を視聴したら、ネコの動画が頻繁に動画一覧に現れるようになったりといった経験はあるはずです。
アルゴリズムが機能することで、ユーザーは何度も同じようなコンテンツを検索することなく、タイムラインに好みのコンテンツがより多く表示されるようになります。ただ、ユーザーにとって害となるコンテンツでも、ひとたびアルゴリズムに乗ってしまえば、幾度となくおすすめに現れるようにもなりえます。過去には、SNSで自傷行為や自殺に関する投稿を見ていた10代のユーザーが自ら命を絶ってしまった事例もありました。
TikTokにはすでに推奨アルゴリズムをリセットする機能が備わっており、ユーザーはいくつかの簡単な手順を踏むことで「おすすめ」フィードに現れるコンテンツをリセットすることが可能になっています。
今回変更が加えられたInstagramでは、一度アルゴリズムをリセットすれば、前の状態に戻すことはできず、リセットされた時点から「時間の経過とともにおすすめは再びパーソナライズされ、あなたが交流したコンテンツやアカウントに基づいて新しいコンテンツが表示」されると説明しています。推奨アルゴリズムを完全にオフにすることはできない模様です。
英国では、12月にオンライン安全法の施行が予定されており、今回のInstagramの機能追加も、その対応のためと考えられます。この法律は、ソーシャルメディア企業に対して、プラットフォームの安全性への責任を持たせることを意図しており、安全性が不十分と判断された場合には、最大で年間売上の10%に相当する罰金が企業に科されます。
したがって英国でサービスを展開していながら、同様の機能をまだ備えていない他のプラットフォームは、今後数週間のうちに対応策の提供を開始すると考えられます。
英国の規制当局は、ソーシャルメディア企業が子供たちに対し、フィードに表示される内容をより細かく制御できるようにすることを義務付ける児童安全行動規範も来年春に定められる予定であり、Instagramの親会社であるMetaは、10代ユーザーがセンシティブまたは成人向けのコンテンツを見ないようするための変更を加えていることをあきらかにし、更新された透明性に関する当該ページで「若者たちに年齢相応の安全な体験を提供し、保護者に安心感を与える」ためのアプローチを継続すると述べています。