米司法省は、9月に連邦地裁がGoogleの反トラスト法(独占禁止法)違反を認定したことを受けて、インターネットにおいて支配的立場を持つ検索エンジンによる競争の抑圧を防止するため、同社がウェブブラウザー「Chrome」を売却する必要があると述べています。
この要求には、GoogleのモバイルOSであるAndroidにおいて、同社の検索エンジンを優先することを防止する制限を課すことなども含まれています。司法省は今回の競争回復策を実行してもそれほど効果がないと認められる場合には、Android事業を手放す要求を追加する可能性もあるとしています。
司法省は裁判所への提出書類のなかで、Chromeの売却に関し「この重要な検索アクセスポイントに対するGoogleの支配を永久に停止させ、多くのユーザーにとってインターネットへの入り口となっているブラウザに、ライバルの検索エンジンがアクセスできるようにする」ためと述べています。
その他としては、提出書類ではGoogleが自社の検索エンジンをデフォルトに設定させるために、アップルやその他モバイル端末メーカーに金銭などを提供することや、Google所有・運営するサービスYouTubeやGoogle Geminiなどで自社の検索エンジンを優先することなどを禁止すること、ライバル企業が安価かつ継続的にGoogleの検索インデックスにアクセス可能にし、検索結果、ランキング指標、米国におけるクエリーデータを10年間共有することなどを義務づけるとしています。また、ウェブサイトがAI Overviewsからのオプトアウトを求める際に、何らかの不利益を被らないようにすることなども含まれています。
なお、今回の要求はすぐに適用されるわけではなく、来年3月に司法省がさらに見直したものを提出し、その後4月からワシントンD.C.地方裁判所で2週間にわたり審議される予定です。この審議はトランプ政権移行後に行われるため、今回の司法省の要求に対し何らかの影響がおよぶこともあるかもしれません。ただ、もともとこの裁判自体が前トランプ政権時に提起されたものであることを考えると、よほどのことがなければ話がひっくり返るほどの影響はないと考えられます。
Googleは、司法省の最新の申し立ては「過激な介入主義的アジェンダ」であり、米国民と世界に対する米国の技術力に損害を与えるものだと主張しています。Googleの最高法務責任者ケント・ウォーカー氏「司法省による広範な提案は、裁判所の決定したものを大きく逸脱している」とし人々に対し日常的に役立っている「検索以外のさまざまなGoogle製品にも支障をきたすことになる」と同社のブログサイトで主張しています。
Googleは12月に、司法省に対する回答提案を提出する予定です。
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